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J3開幕 AC長野 収穫と課題を手に初勝利へ

2月25日、AC長野の2024年シーズンが開幕した。FC大阪とアウェーで対戦した開幕戦は、昨季からの課題を露呈した一方、収穫も感じさせる試合となった。
 事前の分析で、FC大阪はロングボールを多用してくることが想定された。これに対し、AC長野はキャンプから継続して取り組んできたハイプレスではなく、セカンドボールを回収することに重きを置いて試合をスタートさせた。
 キャンプでは試合開始直後に失点する試合も多かったAC長野。開幕戦という独特な緊張感の中、先制される展開を避けるため、ボールを奪うとワントップに起用した新加入の浮田健誠を狙って長いボールを蹴り、ポストプレーからチャンスを狙った。こうした戦い方を選択した結果、前半は両チームがロングボールを蹴り合う落ち着かない展開となり、好機はあったもののゴールを奪えず0ー0で折り返した。浮田は「仕留めていたら違う展開になっていた」と悔しさをにじませた。
 すると、後半22分と38分に課題のセットプレーから失点。AC長野は昨季セットプレーでの失点がJ3で一番多く、この試合でもその課題を突きつけられた格好になった。GKが飛び出せないように体を寄せたり、最終ラインとGKの間にボールを蹴り込んだりするなど、周到に準備されたFC大阪のセットプレーに対処しきれず、高木理己監督は「セットプレーからの2失点に目を向けなければ次のステージに進めない」と厳しい表情で語った。
 2点を追う展開となったが、後半40分に途中出場の忽那喬司が移籍後初ゴール。ゴール前で安藤一哉や三田尚希らと細かくパスをつないで最後は近藤貴司のクロスを中央で合わせた。人数をかけて相手守備を崩した得点に「キャンプからやってきた形がきれいに出た」と忽那。キャンプからの取り組みを結果につなげたが、あと一歩及ばず。高木監督は「もっと長くあの時間を出せたら良かった」と振り返った。
 開幕戦を落としたが、今季初めて参戦したルヴァンカップでは3月13日の1回戦でJ2徳島に5ー1で快勝し、今季公式戦初勝利を挙げた。しかし、リーグ戦では第2~4節で3試合連続ドローと波に乗りきれない。
 16日に行われた第4節の試合後、主将の三田は「ここまで引き分けが多いのは初めて。何かの兆しかもしれない。負けていないことをポジティブに捉えたい」と顔を上げた。
 スポーツにおいて、勝利がもたらす効果は絶大だ。一つ勝ち星を挙げれば、その自信がチームの勢いを加速させるはず。開幕から声援を送り続けるサポーターも勝利を待ち望んでいる。