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3カ月ぶりの連勝いざ“収穫の秋”へ

耐えてしのんで育ち続けた苗が、ようやく実りの兆しを見せ始めた。松本山雅F Cは後半戦にかけて白星をつかみ損ねる試合が続き、一時はJ2昇格圏内2位と勝ち点差8に広がるなど中位に沈んでいた。しかし第2627節の2試合で3カ月ぶりの連勝を達成。内容も含め、残り試合でラストスパートをかけられるだけのポテンシャルを示した。

 「『いい試合』ではなくて勝点3を届けられて、とてもうれしく思っている」。第26節F C琉球戦の試合後会見で、霜田正浩監督は安堵の表情を浮かべた。2ー1で3試合ぶりの白星。それもJリーグでは過去5戦全敗という相性の悪い琉球を、攻守に圧倒する抜群のパフォーマンスで下した。
 さらに1週間後、第27節テゲバジャーロ宮崎とアウェイで対戦。ロングボールと堅守で対抗してくる相手に対し、効果的に攻略して1ー0で制した。宮崎にも対戦4試合目で初白星。内容には課題が残ったが、それでも勝ち点3が奪えるのは「強いチーム」の条件でもある。「自分たちらしくないゲームで勝ち点3を取ることができたのは一つの自信になる」とこの日のゲームキャプテン菊井悠介はうなずく。

 この2試合が示すのは、安定した強さを備え始めている――ということだ。琉球戦のように相手との噛み合わせが良くてプランもハマれば、強さを発揮して勝利に至る。そうでなくても、粘り強く白星を奪うこともできることを宮崎戦で示した。若いチームが失敗を繰り返しながら成長してきた証。唯一全試合フル出場の常田克人は「勝ち負けにすべて直面してきた分だけ、結果に対して責任がある。自分が勝たせられるようにしなければ」と口元を引き締める。
 なぜ、安定した強さを発揮できるようになったのか。要因の一つは、ボランチの存在だろう。夏に加入した安永玲央と、相次ぐ故障から復帰して進境著しい米原秀亮がピッチを制圧。激しくファイトしてボールを回収し、パスを散らして攻撃のタクトを振る。米原は「ゲーム体力やゲーム勘も戻ってきているし、(安永)玲央との関係もだいぶ良い」と手応えを口にする。

 優位にゲームを進め、フィニッシュワークで輝きを放つのが村越凱光だ。リーグ得点ランキング首位の小松蓮が徹底マークに遭う中、いずれもこぼれ球に反応する形で直近4試合3得点(第27節終了時点)。「チームを勝たせられるような存在になってきたと思うし、なくてはいけない一つのピースだと意識できてきた」と自信がにじむ。我慢の時期を乗り越え、若草から幹を太くした山雅。いざ、〝収穫の秋〞に向かう。

取材/大枝令