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開幕アウェイ3連戦 新スタイルで好発進

 

新生・山雅が好スタートを切った。霜田正浩監督を迎えてスタイル転換に挑みつつ、J2復帰を目指す新シーズン。攻守にアグレッシブなサッカーで毎試合ゴールが生まれており、開幕から3試合連続のアウェイを終えて2勝1分(勝ち点7)の首位に立った。「内容が悪くても勝ち点が取れて、自分たちが意図したのとは違う形でも点が取れるということはすごく大きい」。指揮官は滑り出しに一定の満足感を示す。

3月5日、待望のシーズンが開幕。アウェイの奈良クラブ戦に臨んだ山雅は、J3初陣の相手を攻守両面で圧倒した。CKの流れでFW小松蓮が相手に倒されてPKを獲得。これを自ら決めて先制ゴールを奪う。さらに84分、途中出場のMF村越凱光がカウンターから強烈な左足でネットを揺らし、2-0で白星を飾った。

キャンプで取り組んできた攻撃の形も随所に示しつつ、状況に応じて柔軟に戦いながら引き寄せた開幕戦の勝利。先発に抜擢されたMF住田将は「練習でやってきたことにトライする意識が全員にあり、ミスを恐れずにトライできた。個人的にもうまくゲームに入れて、比較的安定してプレーできた」とうなずいた。

続くFC岐阜戦は先制を許してドローとなったものの、MFパウリーニョに「らしさ」が戻ってきた。1点を追う前半終了間際、CKからのパスを受けて左足ミドル。「去年は少ないチャンスで決めたいという気持ちが先走って力んだりしていた。今年はこういうシュートチャンスが去年より多くなる」と声を弾ませる。攻撃的なスタイル変化は、選手のマインドにも影響を及ぼしている。

そして第3節のY.S.C.C.横浜戦は、前半に耐えて大勝を引き寄せた。相手のブロックに手を焼きながらも、ボールを動かしながら守備の消耗を誘っていく。そして時間の経過とともに優位に立ち、後半はほとんど自分たちの時間とした。48分に小松のプレスからMF菊井悠介が今季初ゴール。さらにアディショナルタイムに2点を加える。PKをFW鈴木国友が決めると、鈴木のカウンターから最後は小松が押し込んで3点目を挙げた。

「自分たちが理想としているようなプレッシャーの掛け方で点が取れたり、コンセプト通りの点が取れたりして、試合を追うごとに全体が成長しているというのがわかる。もっとチームと個人の両方が成長して、優勝までいきたい」と小松。新加入のDF藤谷壮も「チームがやりたいプレーができてきていると思う」と確かな手応えを口にする。ただ、シーズンはまだまだ始まったばかり。前向きなトライの姿勢を失わず、一体感を持って進撃していく。

取材/大枝令