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上田西 激闘制し 8年ぶり3度目の優勝


第105回全国高校野球選手権長野大会は、上田西が8年ぶり3度目の優勝を飾った。決勝では松商学園との死闘を7―6で制し、第1シードとしての意地と貫禄を見せつけた。8月6日に開幕した甲子園大会では、開幕試合に登場。土浦日大(茨城)と白熱した試合を繰り広げ、延長10回タイブレークの末に惜しくも3―8で涙をのんだ。夏の甲子園1勝は叶わなかったものの、大会を通して底力を示した。
 長野大会の決勝―。高校球児の夢舞台「甲子園」出場を懸けた大一番にふさわしい激戦となり、劇的な幕切れとなる試合だった。
 初回に松商学園に1点を先制された上田西だったが、3回に3番・横山の右翼線二塁打に敵失が絡んで同点。試合を振り出しに戻すと、そこから試合は膠着状態に。回を追うごとに1点の重みがじわじわと増す緊迫した投手戦となり、上田西のエース・権田の粘投が勝利への布石となった。
 7回途中まで投げて被安打5の1失点。初回にあっさりと先制を許した右腕だったが、「切り替えることができた」と、仕切り直して力投した。140キロ前後の直球を軸に、カットボールやフォークを織り交ぜ、相手打線に的を絞らせなかった。真骨頂は4回から。6回まで得点圏に走者を背負うも無失点で切り抜けた。特に5回と6回は圧巻で、最後は「狙った」という三振でピンチを脱した。
 8回からはがらりと試合の様相が変わり乱打戦に。松商学園に3点のリードを許して苦境に立たされた上田西だったが、ここから攻撃陣が奮起した。1番からの好打順で、中村、黒岩が連打で出塁すると、4番・小林遼の二塁打でまずは1点差。好投する松商学園の先発・齋藤をマウンドから引きずり下ろすと、交代直後に片平の2ランで勝ち越しに成功。この回打者11人の猛攻で鮮やかに3点のリードを奪った。
 ただ、このまま終わらないのが夏の決勝。9回、松商学園が猛追を仕掛けた。4連打で1点差に詰め寄られ、なおも一死2、3塁のピンチ。しかし、最後は左腕の服部がリードを守り切り、県王座を勝ち取った。意地と意地がぶつかり合い、1球、1プレーで勝敗を左右する緊迫したゲームを制し、上田西の吉崎琢朗監督は「後半に強いチーム。最後まで粘り強く戦ってくれた」と選手をたたえた。
 開幕試合となった甲子園では、2点を追う4回に小林遼の右中間二塁打と木次のスクイズで同点。投手陣が粘り、2―2のまま延長のタイブレークに突入すると、先攻めの土浦日大に痛恨の6失点を喫し、裏の攻撃で1点しか返せず敗れた。



【上田西高校】
1960年に上田城南高校として開校、87年に校舎を現在地に移すとともに現行名に改称した。所在地は上田市下塩尻。野球部以外の運動部が盛んで、サッカー部は2018年の全国高校サッカー選手権大会で県勢初の準決勝進出を果たした。野球部からは、プロ野球に阪神タイガースの高寺望夢選手らを輩出している。

撮影/高橋恵