「ファンに愛され、チームから必要とされる選手になりたい」。10月26日のプロ野球ドラフト会議でオリックスから1位で指名された上田西高の横山聖哉内野手（18）は力強く意気込んだ。喜びも悔しさも味わった3年間を経て、大きく成長を遂げた若武者は憧れのプロ野球の世界に足を踏み入れる。
上田西では入学直後の1年春にいきなりベンチ入り。指導する吉崎琢朗監督は入学当時の横山について、「なんでもバランス良くこなせるセンスの良い選手」と振り返る。秋からは遊撃のレギュラーを勝ち取り、チームの中心となっていった。
飛躍の鍵となったのは入学時から取り組んできた体づくりだ。2年秋の大会で敗れ、甲子園のチャンスが夏1本に絞られると「最後だから思い残すことのないように」と冬のオフ期間はそれまで以上に体を追い込んだ。
食事量や筋力トレーニングを増やし、入学時に比べて体は一回りも二回りも大きくなった。2年までで15本だった本塁打数は、3年夏までで2倍の30本に到達。「体が大きくなって肩も強くなったし、打球も飛ぶようになった」と成長を実感。それとともにプロ入りを意識するようになり、強肩強打の遊撃手としてプロのスカウトからの評価も高まっていった。
今夏は持ち前の打棒と軽快な守備でチームの夏8年ぶりとなる甲子園出場に貢献。憧れの聖地でプレーするも、1回戦で土浦日大（茨城）に敗れ、「甲子園では満足のいく結果を残せなかった」と不完全燃焼に終わった。
しかし、「甲子園を悔しい気持ちで終えられたことで、緩むことなく次に向かえた」と横山。甲子園から戻ると、今度はプロ入りという新たな目標を見据え、自身の課題と向き合って練習を続けた。ドラフト直前には「不安しかない」と吐露することもあったが、目指してきたプロ入りを1位指名という最高の形で叶えた。「1位とは思っていなかったのでびっくり」と指名後は仲間からの祝福を受け、笑顔がはじけた。
元オリックスで、現在はメジャーで活躍する吉田正尚（レッドソックス）のフォームを真似するなど憧れているという横山。守備では日本を代表する遊撃手である今宮健太（ソフトバンク）、源田壮亮（西武）を目標に掲げ、「自分もゴールデングラブ賞を取りたい」と意気込む。
ドラフト翌日の指名あいさつでは、上田西を訪れたオリックスの福良淳一GMらが訪れ、「実感が少し湧いてきた」。福良GMから「トリプルスリーも狙える」と激励されると「期待に応えたい」と初々しい笑顔を見せた。
吉崎監督が日頃から口にしている「謙虚」という言葉を大切にし、「結果が出ても出なくてもおごらず頑張りたい」と力を込める。「いずれ日本代表としてプレーできるように努力を続けたい」とプロでの活躍を誓い、表情を引き締めた。
Profile：
横山 聖哉（よこやま・せいや）
2005年生まれ、上田市出身。南小2年の時に「上田リーグ」で野球を始める。上田西高では1年秋から正遊撃手として活躍。3年夏の長野大会では打率3割３分3厘、2本塁打でチームの夏8年ぶりの甲子園出場に貢献。ドラフト会議ではオリックスから高校生野手唯一となる1位指名を受けた。181cm／82kg。
