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【青柳礼羅/ゴルフ】一歩一歩堅実にステップアップ プロを目指して励む高校生

夢への階段を着実に上る、期待の新星だ。「ゴルフに出会えていなかったら、自分が何をしていたか想像もつかない」。高校1年生らしからぬ落ち着いた物腰で、青柳礼羅は穏やかにほほえむ。週6日を練習に費やし、週末になればラウンドを欠かさない。背筋をすっと伸ばし、まっすぐに前を見据えて「何よりも夢中になれる」とゴルフへの情熱を語る。

 小学6年生までは兄の影響で野球に打ち込んだ。中学校へ入学した2020年、コロナ禍が到来し野球を続けるのが困難になった。そんな時、父に連れられて初めて訪れたゴルフ場。クラブを握ると、しっくりと手になじんだ。「やりたいスポーツに出合ってしまった」。野球を辞め、プロゴルファーになる夢を描き始めた。
 「ボールに当てる感覚は野球と似ている。でも、止まっているものを打つほうが難しい」。夢中になって練習を重ね、2021年4月からはプロゴルファー・小林一敏氏による個人レッスンを受講。基礎やマナーを学びながら、より専門的なレクチャーを受ける。
同年5月には自身初の大会となる第23回長野県ジュニアゴルフ選手権大会に出場。緊張のあまり、最初のティーショットを打つ手が震えた。スコアは振るわず9人中9位の成績に終わるも、「自分のレベルが知れた」と奮起。より技術を磨くとともに、様々なシチュエーションでのラウンドを重ねて状況判断力を身に付けた。その甲斐あって、3カ月後の8月に挑んだ第12回abn佐久市ジュニアゴルフ大会では、78の好スコアをマークして3位と飛躍してみせた。
2022年には第24回長野県ジュニアゴルフ選手権大会2位。昨年の雪辱を果たし、わずか2年で全国大会へ。40人中38位という結果にふたたび辛酸をなめたが、それでも「まだまだいける」と自分の伸びしろを再確認した。

「結果が出ずにふて腐れることもある」と言いつつ、「乗り越えたらもっと良いことがある」と笑顔を見せる。壁にぶつかるたび自己を省みて、コツコツと地道な努力を惜しまない。その姿勢を貫き、苦手を一つずつ克服しながら「武器」へと変えていく。例えばドライバーショットの精度。立ち方や角度などの要素を綿密に確認し、自信がつくまで何度も練習を重ねた結果、「今では自分の長所」と胸を張ってみせる。「ほとんどが自分の思い通りにならない競技。結果が出た時はよりいっそううれしい」。壁を乗り越える手応えを実感し、着実な自信と技術をものにしていく。
8月8日、NBSジュニアゴルフ大会へ出場予定。直前の7月23日からは2週間のIJGAゴルフキャンプへ参加するため、単身フロリダへ渡る。「緊張はまったくない」と朗らかに笑う瞳は、まだ見ぬ世界のフィールドへの期待に満ちている。


Profile:
青柳礼羅(あおやぎ れいら)
2007年11月9日生まれ。塩尻市出身。2020年、広丘小学校から丘中学校へ入学する折に新型コロナウイルスの流行で学校が休校。所属していた松本西リトルシニアの練習中止を受け、父とともにゴルフ場へ通い始めた。ゴルフの競技性はもちろん、幅広いコミュニティの中で社交性や人間性を磨きながら日々成長を続ける。プロゴルファーを目指し、現在は松商学園高校に通いながら練習を重ねる。

取材/佐藤春香