地域スポーツ

【ハーツことぶきスクール】楽しみながら自立を学ぶ バスケットを通して育む人間力

子どもたちの社会性を培い、人間力を育む。全国各地に拠点を構えるバスケットボールスクールハーツ。単なるプレー技術の向上にとどまらず、バスケットボールというチームスポーツを通して「人」を育てることに重きを置く。ことぶきスクール(松本支店)の指導員・木下智詩さんは「子どもたちが自分で考えて練習する、自分のことを自分でできるようになる。そういった姿勢を大切にしている」と話す。

 スクールに通う子どもたちはほとんどが未経験者からのスタートで、スポーツに取り組むことそのものが新たな体験の連続。「プレー中に自分で考えて動くことが、人間としての成長にもつながる」と、木下さんはほほえむ。

 独自のさまざまなスキルテストや大会を設け、年間を通して数多くのプログラムを実施するハーツ。中でも1泊2日の合宿は人気があり、春・夏・冬に各3回ずつで年間9回も実施。毎回80人以上の参加者が集う。子どもたちは県内の複数のスクールから合同でバスに乗り合わせ、指導員の引率で各地の少年自然の家などに宿泊。バスケットの練習はもちろん、身支度や身の回りのことを自分自身でやって2日間を過ごす。
 親もとを離れて普段は会わないスクールのメンバーと親交を深めながら、自然と協調性や自立心が芽生えるという。保護者からも好評で、「子どもが楽しんで帰ってくる」「家でも自分のことをやるようになった」と喜びの声があがる。ことぶきスクールから合宿に参加した小松透和くん、梅田大和くんは、「合宿中のテストや大会が楽しい」「いろんな人と触れ合えるので、仲が深まる」と話し、「また参加したい」と口をそろえる。2人と同じ吉川小学校6年生の矢嶋昊樹くんは、「まだ参加したことがない。楽しそうなので行ってみたい」と期待を込めて話す。

 小松くんは妹の葵さんとともにハーツに通い始めて3年目。「先生が若くて話しやすい」と、木下さんの親しみやすさをスクールの魅力にあげる。「子どもたちの人間的な成長がうれしい。学年が上がるにつれて下の子に声をかけてあげたり、技術を教えたり、人のために動けるようになっていく姿に胸を打たれる」と、木下さんは目を細める。

「Heartz(ハーツ)」の名前には「チームスポーツで協調性を育み、子どもたちの体とこころの成長を願う」という思いが込められている。現在は全国に約600スクールがあり、長野県内も中南信に18拠点を展開。「ココロに体力を。」という理念のもと、あたたかいまなざしに見守られて子どもたちは成長を重ねる。


【矢嶋 昊樹(やじま こうじゅ)くん、木下 透和(きのした とうわ)くん、梅田 大和(うめだ やまと)くん】


【木下 智詩さん】
子どもたちが自分で考えることが大切なので、一人一人に寄り添った指導を心がけています。大人が「こうだよ」と決めるのではなく、自由な発想で自分からどんどん取り組んでほしいです。

取材・撮影/佐藤春香