高校スポーツ

【松本国際高校女子サッカー部】スキル向上にこだわり 創部3年目の飛躍を狙う

県内の高校女子サッカー界に新風を吹かせる。松本国際は設立3年目を迎えた今季、より攻撃的なスローガン「破壊」を提示。創部当時から指揮を執る神田翔監督は「女子サッカーという固定観念を覆す。女子も男子もなく、サッカーはサッカーであることを示したい」と並々ならぬ決意を口にする。

 県内屈指の強豪である同校の男子サッカー部で、コーチなどとして8年の指導歴を持つ指揮官。自分たちがボールを支配してゲームを掌握する攻撃的なスタイルを志向する。その実現には高い技術が不可欠で、「テクニックに目をつぶって『走ってごまかす』ということはしない」と目を光らせる。止める、蹴る、運ぶ――。サッカーの基本的なスキル一つひとつに徹底的なこだわりを持ち、ロジカルに根拠を示しながら技術を落とし込んでいく。トレーニング中は矢継ぎ早に指示。「シームレスなサッカーを目指して、即時判断力をつけるため」と狙いを説明する。

 選手たちも、こうした環境でポジティブにサッカーと向き合っている。宮澤美雛主将は妥協を許さない指揮官の姿勢に厳しさを感じつつも「指導の全てに意味があるから、納得して練習できる」と語る。県女子トレセン選抜メンバーに名を連ねた中学3年生時、勧誘を受けて進学した創部メンバー。「神田さんに生活面の基礎から指導してもらい、人間的にも技術的にも成長できた」と絶大な信頼を寄せ、その思いが奮起する原動力となっている。

 長野県内では2017年の高校女子選手権で全国8強に入った松商学園のほか、東海大諏訪、佐久長聖などが女子サッカーに力を入れている。ただ、過去には藤枝順心(静岡)や日ノ本学園(兵庫)、常盤木学園(宮城)など全国上位校に進路を求める選手がいたのも実情。こうした現状から県内における「第4の極」となりたい考えで、「本気でサッカーと向き合える新たな環境を提供したい」という思いから創部に至ったという。
「実績があるとは言えない現状ながら、実力ある選手が進学してきていることに手応えを感じる」と神田監督はうなずく。「オール長野人のチームで長野県を獲る」ことも目標に掲げ、将来的にはWE.リーグなどトップリーグ選手の輩出も思い描く。今季の県総体は佐久長聖に0-11と大敗したが、「冬に向けてまだまだ成長できる」と宮澤主将。ストイックに牙を研ぐ日々を重ね、勇猛果敢な「松国スタイル」の体現を目指す。

取材・撮影/佐藤春香


【神田翔監督】
上手下手は関係なく、「本気で向き合えること」が重要。勝ち負けも、得意も苦手もあることを受け止め、自分自身の成長のために本気で取り組む姿勢を持って、入部してきてもらいたいです。

【宮澤美雛キャプテン】
皆をまとめられるようにピッチ外でも自ら行動して、キャプテンとしての姿勢を見せられるよう意識しています。選手権では力を出し切れるよう、悔いが残らないようがんばります!