高校スポーツ

【市立長野高校 陸上競技部】  目標は人それぞれ 自立しながら助け合う

「全員で全国出場を目指しているわけではない。目標は県大会出場でも、全国優勝でも構わない」。そう語るのは、市立長野高校陸上競技部の下條正紀監督だ。
 部員数は27人(男子13人、女子14人)。各々が目標を定め、選手同士で助け合いつつ、下條監督がレベルに合わせてアドバイスを送る。専門の指導者は下條監督1人だけだが、投てきの外部コーチや卒業生が定期的に訪れ指導にあたる。「今の人数なら問題ない。一人ひとりに声をかけて、目標達成に向けて自分を高めてもらえたら」と温かい眼差しで選手たちの成長を見守る。
 選手の大半は北信出身で、同校の中学陸上部で育った選手もいる。地域では中規模程度のチームだが、「毎年一生懸命な子が多いし、選手同士の仲も良い。やる時はしっかりとやるので、メリハリができている」と下條監督。山田柚葵主将も「みんな自立しているので、そこまでまとめるという感じでもない。入ってきたときは女子が圧倒的に多くて女子のほうが活気があったけど、今年は男子が多く入ってきて、男女問わずチームとして良い雰囲気でやれている」と話す。


 昨季の高校総体は、部員全員が北信大会を勝ち抜いて県大会に出場。指揮官は「それぞれが一生懸命頑張って、ボーダーラインにいた選手もなんとか食い込むことができた」と振り返る。コロナ禍で全体練習ができない期間もあったが、各々が自主トレーニングを重ねて「しっかりと取り組んでいる選手は伸びていった」と山田主将。自身は北信越大会の女子やり投げで9位に入り、「思ったより良いところまで行けた」。このほか女子200メートルの宮澤けいは、当時1年生で全国総体(インターハイ)に出場した。


 今季もそれぞれの力量を底上げしながら、飛躍の準備を整えている。4月に行われた県春季大会では、女子400メートルリレーで優勝。昨季のメンバーだった宮原凛成、牧内愛美、宮澤の3人に1年生の中村夏鈴が加わり、48秒76をマークした。女子1600メートルリレーも佐野涼楓、渡辺彩那、斉藤彩乃、宮澤の2年生チームで2位に入り、一定の手応えを得た。
 「リレーは唯一チームで戦うので、ポイントとなる種目」と指揮官。5月の北信総体でも女子4×100mと女子4×400mでともに優勝するなど、着実に成果を収めている。今後もリレーに限らず、個々が打ち立てた目標を突破しながらチームを全国水準に押し上げていくつもりだ。

山田 柚葵 主将

下條 正紀 監督

取材・撮影/田中紘夢