高校スポーツ

【南安曇農業高等学校 野球部】目指せ夏の大会初戦突破!

 北アルプス常念岳から有明山までを仰ぎ、JR大糸線が銀色の車体を陽に光らせて通り過ぎるすぐ隣に位置する南安曇農業高等学校。同校のグラウンドで活動する野球部は、少人数ながら意気込みと勢いは他校大所帯のそれと変わらない。現在、3年生7人、2年生3人、1年生2人、マネージャー5人、計17人で活動している。5年目を務める北沢監督の指導の下、放課後や週末の練習に励む。

 午後4時30分、部員たちが白いユニフォーム姿でグラウンドに集まり、ベースの設置や投球機の準備を始める。アップに入る際には皆笑顔で体を動かし、マネージャーの協力のもと和やかに練習が進められていた。そこには“野球部然”とした上下関係の厳しさや作法の慣例のようなものはなく、学年に捕らわれず、野球が好きなメンバーが集まり共通の目的に向かって野球を楽しんでいる姿が見られた。

 昨今の高校野球部といえば部員数の減少が課題となっているが、同校も近年は部員確保を目下課題としている。北沢監督曰く、高校野球の厳しいイメージが入部の壁になる部分もあり、小・中学校から高校に上がるところでスムーズに部活動に参加できることが大切だという。北沢監督は「時代と共に野球部も変わってきています。県立高では特に、厳しい指導や練習に重きを置くより、生徒たちの野球を楽しみたい気持ちを尊重して活動している」と話す。

 裾野を広げる取り組みの一つとして、中学生を対象に野球技術の講習会を開催している。中信地区近隣の高校が協力し、中学生に高校生が指導役として練習を行って硬式野球の楽しさを伝えている。同校の野球部員たちも、中学生に野球を教える体験をしているそうだ。

 同部は3年前に8年ぶりの1勝を挙げた。近年は部員が少ない中でも初戦突破が増えてきている。南安曇農業高校野球部は、野球を楽しむことを大切に、夏の大会に向けて練習に汗を流す。



左)監督 北沢信一 先生(体育科)
まずは“ちゃんと試合をやること”を目指しています。取れるアウトはちゃんと取るし、捕った球はちゃんと投げる。その積み重ねが勝利に繋がります。
右)主将 保科 慧くん(ほしな さとる) 3年生
個性的なメンバーばかりでチームをまとめるのが大変です(笑)。攻撃からリズムを作るのを大切にしているので、乗ってきたら止まりません!まずは初戦突破を目指します!

<取材・撮影/生田和徳>