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【松涛会空手道】純白の思いを胸に 稽古に打ち込む

 安曇野市に本部を置く空手道の松涛会(会長 安田良親)で、子どもたちが熱心に汗を流している。道場創設の歴史は古く昭和43年にさかのぼる。同好の門下生数人から活動がスタートし、今や下は4歳から大人まで1道場20人ほどで松川、池田、穂高、豊科、明科、堀金と6道場総勢100人を超える。

 竹内宗彦指導員は、昭和55年自身が中学2年の時に池田道場の一期生として入門。今も空手に打ち込み、情熱と愛情を込めて指導に当たる。このほか、子どもたちの成長を見守るのは宇留賀高道場長。「勝負に勝ったり強い人間になったりするより、社会に出て礼儀正しい人間になってほしい」と願いを込める。

 練習は30分ほど入念に準備運動をしてからスタート。まずは不要なケガなく取り組むのが大前提だ。柔軟体操にはケガ防止だけでなく脚の可動域が広がる効果もあり、これが実戦にも生きるという。

 空手を始めたきっかけはさまざまだが、話を聞いた2人に共通していたのは「かっこいい」ということだった。武田汰心くんは小学1年から始めて6年目となり、「友だちの影響で道場に見学に来て、かっこいいと思った」。同じ6年生の須田詩乃さんも「きっかけは名探偵コナンの蘭姉ちゃん(毛利蘭)。見学しに行って、かっこよくて始めた」と振り返る。

 ただ昨年来のコロナ禍はここにも影を落としている。一時期は自主練となっていた期間があり、現在も発声を最小限に抑えながらの稽古。竹内代表は「以前は元気よく声を出してやっていたが、コロナ対策の一環であまり声は出さないようにしている」と説明する。

 掛け声が飛び交うような以前の活気はなくても、子どもたちのやる気まで失われたわけでも決してない。畳や道着の、擦れる音。声を出さない練習でも、気迫は十分に伝わる。そして何より、自粛期間を味わった子どもたちにとっては今の環境もかけがえのないものだ。

 「自粛中は家で自主練。みんなと練習できなくて悲しかった」と武田くんが言えば、「自粛期間中は先行き不安になることもあったけど、またみんなと道場で練習できてめっちゃうれしい」と須田さん。喜びを取り戻した。

 その先に、未来を見据えられるようにもなった。目標を聞くと、「今年は少年少女空手道選手権大会で優勝すること。将来の目標は世界大会での優勝」と目を輝かせる武田くん。須田さんも「今年は全国大会、将来はオリンピック出場」と語ってくれた。今以上に未来が不透明だった時期を思えば、夢を語れるのは幸せなのかもしれない。身にまとう道着のように真っ白な思いを胸に、健やかに成長してほしい。


※撮影時のみマスクを外しています