夏休みは暑さ対策のため早朝からの練習だったが、終わるころには30度を超えた。流れる汗も気にせず、必死になってボールを追いかけ、ラケットを振り抜く須坂創成高校卓球部員たちの躍動感は、暑さを吹き飛ばす。
中学時代はバレー部で、高校入学後に卓球部の門を叩いた女子主将の安藤凛さんは「最初は戸惑いも多かったけれど、難しいことができるようになると楽しい!」と、汗を拭うと笑顔に。安藤さんは高校から卓球を始めた部員が対象の北信ジュニア卓球大会Ⅱ部で、見事優勝を飾った(同Ⅱ部では男子も神子島玲央さんが優勝)。男子は今年の県高校総体で団体ベスト8入り。新主将の畠山裕人さんは「先輩からバトンを受け取り、まずは秋の新人戦で県大会に出場し、きっちりと結果を残したい」と目標を定める。卓球部顧問の宮尾勝典先生は、「練習から常に試合を意識するように心掛けている。共通の練習メニューをこなしたら、攻撃型、守備型…など、選手それぞれのプレースタイルに合わせて、課題を見つけて、それを克服・強化する練習を各自で判断して自主的に取り組むようにしている」。安藤・畠山両主将は「先生はほめるのも、しかるのもしっかり向き合ってくれる。アメとムチ、(いや)メリハリが上手」と話し、「部員同士、個性を認め合いながら、うまくまとまり、雰囲気がいいので、気持ちを強く持って試合に臨める」と口をそろえる。定期テストで100点を取ると、「うれしいごほうびが出ることがある」との宮尾先生情報も。高校から卓球を始めた部員も少なくないが、しっかりとレベルアップできる環境がある。
今年は県高校総体で男子ダブルスがベスト6(滝沢大和・宮澤玲組)、団体・シングルではベスト8(宮澤玲)と健闘。中心メンバーが入れ替わった今年秋の新人戦では、激戦区の北信大会をいい形で勝ち抜いて、11月の県大会、そして来年の県高校総体では上位を狙う。
「卓球のまち」と宮尾先生が話す通り、長く町別卓球大会が開かれるなど卓球が盛んな須坂市。同校も地域の大会に積極的に参加したり、社会人コーチが指導してくれたりしている。コロナ禍以降は中断しているが、市内中学生とは卓球を通しての交流も行ってきた。宮尾先生は「地域から応援されるチームでありたい」と力を込める。高校生の若い力が「卓球のまち」を盛り上げる。
【宮尾 勝典 先生】
【安藤 凛 主将・畠山 裕人 主将】
取材・撮影/斉藤茂明