医療コラム

うすい院長のひとりごとvol.5  まだ背は伸びますか?

日々のスポーツ診療でよく聞かれることを、医学的な根拠に私個人の見解を添えて紹介しております。第5回は「まだ背は伸びますか?」です。身長の「伸び時」にはかなりの個人差があり、特に中学生くらいになると「もう身長が止まってしまったのではないか」「あとどのくらい伸びるのか」などと気になる方が多くいらっしゃいます。「あと何センチ伸びる」かは言えませんが、「あとどのくらいの期間は背が伸びる」かは見当がつきます。成長の指標には「声」や「体つき」などいろいろありますが、整形外科医の立場で「レントゲンで見る骨の成長」の視点から述べたいと思います。

 通常は子供の骨がそのまま大きくなって大人の骨になるのではなく、骨の端にある軟骨部分で伸びて、骨に置き変わって大きくなります。骨はレントゲンで白く写りますが、軟骨は写らず黒い線状に見えます。これを「骨端線が開いている」と表現し、子どもの骨だけにみられる特徴になります。

 図は膝のレントゲンです。成長につれて骨端線が閉じていくのがわかりますね。完全に閉じて「大人の骨」になると、もう身長は伸びません。逆に言えば骨端線が開いている限り身長は伸びますので、「もう1~2年は伸びますね」「そろそろ身長止まるかな」などと判断します。

 成長期の皆さん、大人になると食べた分は横に増えるだけになってしまいます。縦に伸びるのは今のうちだけですので、好き嫌いなくしっかりごはんを食べて、睡眠を規則正しく取るようにしてください。背を伸ばす特効薬は「メシを食って寝る」ですからね!

▶PROFILE

薄井 雄企
松本市の整形外科・リハビリテーション科うすいクリニックの院長。 2 名の医師、6 名の理学療法士が在籍し、「手術をせずに、いかに治すか」 をモットーに一般整形外科の診療・スポーツ選手の治療を行っている。 学生時代は野球部。