医療コラム

うすい院長のひとりごとvol.6 MRI撮らなくても大丈夫ですか?

日々のスポーツ診療でよく聞かれることを、医学的な 根拠に私個人の見解を添えて紹介しております。第 6 回 は「MRI 撮らなくても大丈夫ですか?」です。「よそで レントゲンでは何ともないと言われたのでMRIを撮って ほしい」「コーチに MRI 撮ってもらったらどうだと言わ れた」などのお話を伺うことがよくあります。 「痛みがある=MRI を撮る」ということにはならないと 思いますが、それではどのような時に MRI 撮影が有用 なのかを述べたいと思います。  

MRIでわかることは

・レントゲンではっきりしない骨折や、初期の疲労骨折
・レントゲンでは写らない靭帯、膝の半月板、脊椎の椎 間板などです。
 
 例えば、「走っていたらスネが痛くなった」「腰の痛み がしばらく続いている」などの場合は、スネ(脛骨)の 疲労骨折や腰椎の疲労骨折(分離症)の初期であること も考えられます。そのような場合は MRI を撮影するこ とにより病変が白く写り診断できます。
 また、「膝が屈伸で引っかかる感じがある」「お尻から ふくらはぎにかけて痛む、痺れる」という時には膝の半 月板損傷や腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります。 MRI では傷んだ半月板やヘルニアを起こした椎間板が 神経を圧迫しているのを確認できます。
 それぞれに対して「運動しても大丈夫なのか、休まな ければならないのか」「特別な治療が必要なものなのか」の判断が必要になります。当院には総合病院と同じ、高 性能のMRIがありますので、気になる方は一度検査に来 られてはいかがでしょうか。

4 月になり、進級や進学などで新たな環境を迎える選 手の方も多いと思います。引き続き全力で運動ができる ために早く正しく診断・治療をして、少しでもパフォー マンスを上げられるように応援しております。

▶PROFILE

薄井 雄企
松本市の整形外科・リハビリテーション科うすいクリニックの院長。 2 名の医師、6 名の理学療法士が在籍し、「手術をせずに、いかに治すか」 をモットーに一般整形外科の診療・スポーツ選手の治療を行っている。 学生時代は野球部。