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圧倒した松本国際 リベンジの全国へ

立ち上がりの勢いそのままに、前半の3発で試合を決めた。第101回全国高校サッカー選手権大会長野県大会の決勝が10月29日に行われ、松本国際が松商学園に3-0と快勝。2大会ぶり5度目の全国出場を果たした。


 同カードは新人戦と県リーグ1部でも実現しており、ここまで松本国際が3勝。この試合でも開始から松本国際が主導権を握った。まずは3分、岸琢人のスルーパスから高城泰史が抜けると、豪快に右足を振り抜いて先制。さらに11分、佐々木晄汰のスルーパスから再び高城が抜け出し、今度は冷静にゴール左隅へ流し込んだ。
いずれも右サイドのスルーパスから、同サイドを抜け出す形だった。高城は「相手のラインが乱れていたので(背後を)狙っていた」と話す。序盤から2トップの高城・佐々木とトップ下の矢越俊哉を中心に、中盤とディフェンスラインの背後を有効活用した。


 そして33分、決定的な3点目が生まれる。岸が右サイドで1人をかわすと、角度のないところから右足一閃。「とりあえず振り抜けば入ると思った」というシュートは、GKの脇を抜けてネットに吸い込まれた。
 前半を3-0で折り返すと、後半も松本国際のペースが続く。対する松商学園はエース・市ノ瀬純大にボールが収まり始めるも、なかなかシュートに持ち込めない。51分には右足に痛みを抱える10番・山嵜悠を投入。73分にはその山嵜がドリブルからシュートを放ったが、ゴール右上に外れた。
 追加点こそ逃した松本国際だが、3バックを中心に松商学園の攻撃をシャットアウト。守備の要・川崎楓太は「GKも含めて『無失点で終わろう』と話していたので、それができたのが一番嬉しい」と笑みをこぼす。大会を通して17得点1失点で終え、攻守ともに自信を深めた。


 一方の松商学園は9年ぶりの決勝を戦った。前回大会ではまさかの3回戦敗退に終わり、雪辱をかけて臨んだ今季。5月には3年生GKの渡邉康大さんが交通事故で亡くなり、「前に進むのが大変な時期もあった」と高山剛治監督は振り返る。それでも準優勝という結果を残し、「どこの高校生よりも立派だと思う」と選手たちをたたえた。
  第101回全国高校サッカー選手権大会は12月28日に開幕。松本国際が長野県代表として全国の猛者に挑む。2019年度の前回出場時は、初戦で京都橘に0-6と大敗。そのリベンジの舞台に向け、勝沢勝監督は「ここからがスタート。鍛え直してきっと活躍してくれると思う」と願いを込めた。

取材/田中紘夢