地域スポーツ

【アルプスリトルリーグ・豊科チーム】北アルプスの麓に新たな芽吹き 考えて行動して成長を

指示を待つのではなく、自ら考えて行動できる人間に――。硬式野球のアルプスリトルリーグ・豊科チームは、野球を通し、豊かな人間形成を目指す。板橋健太郎監督(上写真後列左)は「子どもたちのイキイキとした姿を見れば自然と大人も引き込まれ、一体感が生まれるはず。そのためには、まずは大好きな野球と真剣に向き合い、自分で決めたことに対して妥協しないこと。それを貫けば必ず結果はついてくる」と力を込める。
 1971年に豊科リーグとして結成。53年目となる今年は大町白馬、安曇野穂高、堀金三郷とともにアルプスリトルリーグに統一され、同リーグ内の豊科チームとして新たなスタートを切った。競技人口の減少などが主な理由だというが、「アルプスリトルリーグは、安曇野や大北地域の野球を盛り上げるための第一歩」。改めて魅力を発信していきたいと考えている。
 板橋監督は、選手たちには常に「考える」ことの重要性を説く。「疑問を持ちながら練習に取り組むよりも、自ら考えて本当に必要だと思える方法で練習に打ち込んだ方がモチベーションも上がり、身につくスピードも速くなる」と積極的な主体性を重視。また、「試合に負けた原因はチームごとに違う。その原因を選手一人一人が真剣に見つめて克服しようとするからこそ意味がある。全部が全部正解でなくてもいい。たとえ遠回りになっても、その分多くの経験を積むことができる。道から逸れそうになったら自分がアドバイスをすればいい」と笑う。
 昨季は「全員で自分たちが思い描く最高の景色を見るために」奮闘した。監督に就任して4年目、7月の第48回リトルリーグ信越連盟夏季大会で準優勝。松本リーグ南との決勝こそ敗れはしたものの、創設以来初めてSSK杯争奪第18回東日本リトルリーグ選手権への切符を手にした。当時小学6年生だった堀内遥翔は「決勝戦で負けたことは悔しかったけれど、準優勝できたことで東日本リトルリーグ野球選手権大会へとつながり、より長く先輩たちと野球ができたことは本当にうれしかった」と振り返る。
 今季からはアルプスリトルリーグ内の他チームと合同でチームを組んで各種大会に出場する。「今までは他のチームと合同で試合をする機会がなかったので楽しみ」と堀内が話せば、山本一輝も「ライバルが増えることは自分の成長につながる。豊科チームの中学1年生5人で1番から5番を独占したい」。北アルプスに抱かれたチームの一員として、新たな歴史を刻んでいく。


【山﨑 翔太 さん(中学1年生)】
いつか野球をしたいと思っていて、小学3年生の時に豊科リーグに入団しました。試合でヒットを打てたときも嬉しいですが、野球をできること自体が楽しいです。将来の夢はプロ野球選手になることです。


【山本 一輝 さん(中学1年生)】
何かスポーツをしたいと野球を始めましたが、やっているうちにどんどん楽しくなり、より上手くなりたいと思うようになりました。自分が思う野球の楽しさは、勝利の喜びをチームメイトと分かち合えることです。


【堀内 遥翔 さん(中学1年生)】
小学1年生の時に豊科リーグの体験へ行き、とても楽しかったので入団しました。野球をしていて楽しいと感じるのは、チームメイトと関わること。将来の夢はプロ野球選手になって、MVPを取ることです。

取材・撮影/児玉さつき