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【松本大学 男子サッカー部】  初のJリーガーが誕生 さらなる人材の輩出へ

長野県からJリーガーを輩出すべく、Jリーグクラブとも関係を深めながら強化に力を注いでいる。北信越大学サッカーリーグ1部に所属する松本大学男子サッカー部。過去3度の全国大会出場歴を持ち、今年3月には創部以来初となるJリーガーが誕生した。

 2007年の人間健康学部開学部と同時に着任した齊藤茂監督により、同年に立ち上げられた。2017年には全日本大学選手権大会(インカレ)、2018年には総理大臣杯全日本大学トーナメントと2大大会に初出場(その後2021年にも総理大臣杯に出場)。近年は県内外でのスカウティングを強化しており、個のレベルが高まっている。


 身近なJクラブの存在も大きい。J3リーグ・松本山雅FCとは練習試合を重ねるほか、同クラブアカデミーダイレクターの岸野靖之氏にフィジカルアドバイザーを委ねている。今年3月には、濱名真央(スポーツ健康学科4年)が来季から松本山雅FCに加入することが内定。待望のJリーガーが誕生し、齊藤監督は「彼の影響で松本大学を志望する選手も出てきている」と明かす。
 濱名のJクラブ入りを受け、同学年の中島千風主将は「自分にはまだ甘さがあるんだと思って努力してきた」と話す。高校時代はヴァンフォーレ甲府U-18で過ごし、2018年にはJリーグの試合に出場できる2種登録も経験。その後もJクラブと身近な松本大学に身を移し、「Jクラブに入りたいという意識がより強くなった」という。
 さらなるJリーガーの輩出を狙う中で、指揮官は「地元の選手を育てたいという思いは強い」とビジョンを示す。岡谷市出身の中島をはじめ、チームの大半は県内出身者。1年生も積極的に起用し、チームの競争力を高めている。
 ただ、今季は苦しい戦いを強いられた。総理大臣杯では北信越大会の準々決勝で敗退し、リーグ戦は3位に終わり、インカレ出場はならず。下級生が先発に多く名を連ねる中で、中島は「4年生の懸ける思いをもっと後輩に伝えられればよかった」と悔やむ。リーグ戦の前期最終節はアディショナルタイムに追いつかれ、後期最終節も0-2で敗れるなど、勝負どころで力を発揮できなかった。
 一方でライバルの新潟医療福祉大は、総理大臣杯で全国ベスト8と躍進。その姿を見て齊藤監督は「北信越勢も関東や関西の強豪と戦えないわけではない。我々もなんとか全国で1勝を挙げたい」と決意を改めた。結果を求めながら、Jリーガーの輩出に力を入れていく。

■濱名真央(スポーツ健康学科4年)
来季から松本山雅FCへの加入が内定している

■齊藤茂監督(大学院健康科学研究科・スポーツ健康学科 准教授)

取材/田中紘夢