パラスポーツ

パラスポの魅力を発信!体育館を颯爽と駆け抜ける!車いすバスケットボール 小林優人くん

安曇野市を拠点に活動する車いすバスケットボールチーム「長野WBC」に、ひときわ小さな車いすを操る選手がいる。この春小学4年生になった小林優人くんだ。障がいに合わせてクラブが特注した競技用の車いすに乗り換え、縦横無尽に駆け回る。「体育館に来ると速く走れるから楽しい!」。フロアに歓声を響かせる。
 同クラブは信州大の学生ら健常者も多く、車いすバスケを競技として楽しんでいる。現在10歳の優人くんは4歳から通っており、大人に交ざって車いすバスケの“入り口”を楽しんでいる。本人は「同じくらいの年齢の人があまりいないから、バスケットボールより走っていることが多い。ここに来ると速く走れるのが面白い」と、疾走できる週2回の練習にご満悦の様子だ。

 もちろん車いすバスケの練習にも取り組んでいる。車いすに乗りながらのドリブルは難しいというものの、最近は子ども用のボールならできるようになった。目下取り組んでいるのは、シュート練習。目標は大人が使う通常サイズのゴールにシュートを決めることだ。「ゴールネットには届くようになったんだけど」。“あとちょっと”がなかなか届かない悔しさを実感している。


 母親の知子さんも、そんな優人くんを優しく見守る。「本人はバスケに興味があるようなないような…?でも自由に動けるのが楽しいみたいですね。もともと何か元気よく動いてほしいと思って始めたので、楽しんでくれていれば」と話す。優人くん自身もこれから車いすバスケの楽しさや醍醐味を知っていく段階にあり、「将来バスケを続けたいか」と尋ねると「続けない」と即答。周囲の大人を苦笑いさせている。
 同クラブの奥原明男代表は「優人くんは脚を曲げ難い特性があるので、それに合わせた設計の車いすを作りました。だから辞めてもらっちゃ困るなあ」と笑い、「小学生くらいの年代だと、やればやるほどうまくなる。今は欲がない時期だから、これから楽しみながら上手になるよ」と優しいエールを送る。
 奥原さんによると、県下の車いすバスケは今、ジュニア世代の育成が始まっているという。2027年の第82回国民スポーツ大会の開催地が長野県に決まり、地元開催の大舞台で活躍できる選手を輩出することが目標だ。5年後に優人くんは15歳。一体どんな将来を見つめるようになっているのだろう。

取材・撮影/生田和徳