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【Rainbow絆/精神障がい者ソフトバレー】きずなで集う場所 強く 高く どこまでも上へ

「一度でいい、全国大会に行きたい」。強い思いが共鳴したきずなは、何よりの力になる。
 長野市の精神障がい者支援団体・社会福祉法人絆の会。利用者で結成されるソフトバレーボールチーム「Rainbow絆」は、県内屈指の強豪チームとして活躍している。全国障害者スポーツ大会の県予選では7度の優勝をおさめ、最高成績は北信越・東海ブロック2位。9月に松本市で行われた第23回長野県障がい者スポーツ大会では優勝を飾った。

 活動は20年以上前から。就労支援や生活支援を受ける利用者の気分転換や運動不足解消のため、毎週水曜日に「スポーツ活動」としてソフトバレーボールを取り入れた。「身体を動かすことがストレス発散になるし、気分転換になる。家にこもっているより、仲間と一緒にスポーツをしたい」。そんな思いで集うメンバーが増えていった。

 「精神障がい者の競技としてメジャーで、ソフトバレーを活用している団体や医療機関が多かった」と、絆の会の精神保健福祉士・西川洋介さん。2002年頃から全県規模での大会が活発になり、08年から全国障害者スポーツ大会の正式種目に採用された。その頃には県内各地に強豪チームがあり、上下そろいのユニフォームで大会出場している姿にあこがれたという。初期から20年以上在籍するメンバーの一人は「強いチームをたくさん見てきた。もっと上の大会で、もっと強いチームを追い越したい」と、変わらぬ闘志を燃やす。「やるからには勝ちたい」「あそこより強くなりたい」。その思いでひたすら上を目指し、勝利をつかんできた。
 「勝てば最上の喜びだけど、仲間と一緒にがんばる過程が楽しい。跳べなくなるまで続けたい」。そうほほえみ、今日も皆が練習に足を運ぶ。かけがえのない場所で繋がった「きずな」が、より高いステージへ、そして明日へとジャンプするための力になる。

 社会福祉法人絆の会は、精神障がい者の地域生活支援をメインに活動している。就労継続支援B型事業所やグループホームの運営をはじめ、就労移行支援、相談支援事業など、利用者が地域で暮らすための支援を幅広く手がける。1988年に前身の任意団体である「りんどう会」を発足。第1回精神保健福祉ボランティア養成講座の受講生の活動場所として「喫茶りんどう(職親事業所)」を設立したことから、精神障がい者の支援活動を開始。2003年には法人化して「絆の会」と名を改め、今日まで35年にわたって長野地域での障がい者支援を続けている。

取材・撮影/佐藤春香