パラスポーツ

スポーツから共生社会の実現を パラ☆スポフェスティバル

パラスポーツは障がい者だけのものではない。松本市が開催する「パラ☆スポフェスティバル」は、障がい者と健常者がともにスポーツを楽しむ環境を提供し、より良い共生社会の実現を描く。
 第3回となる今回は1月28日に松本市総合体育館で開催。メインイベントであるボッチャ競技大会には県内各地から16チームが参加した。精密なボールコントロールにはギャラリーから感嘆のため息がこぼれ、思い切った投球には笑いと拍手が惜しみなく贈られるなど、会場は緊張感と温かい笑顔で盛り上がった。
 ひときわ楽しそうにプレーする「チームKOGA」は、息子と母、母の友人の3人でチームを結成。「球がジャックボールに当たるのがうれしい」とはにかみ、一投ごとに歓声をあげてハイタッチを交わし、満面の笑みで抱き合った。
 岡谷市から参加した「あやめファイターズ」は、同市内の教職員によるチーム。「優勝を逃したのは悔しいけど、とても楽しかった」と汗をぬぐい、「年齢や背景も様々な人たちと交流する機会になった。障がいのある方もない方も一緒の気持ちで取り組めるところがすばらしい」と話した。
 スポーツ器具メーカーの株式会社アポワテックは、会場内でボッチャの用具展示やメンテナンスを実施。参加者は興味深そうに足を止め、用具の説明に熱心に耳を傾けた。同社の関隆弘代表は「自然な形での理解が広まってほしい。『障がい者だから応援する』ではなく、『友達だから、チームメイトだから』という熱気にあふれる社会になれば」と期待を込める。
 「健康チェックブース」で参加者にベジチェックと血管年齢測定を実施した明治安田生命保険相互会社松本支社は、社内でボッチャチームを結成してプレーヤーとしても参加。「健康増進の活動、大会周知のための協力、そして一市民としても参加することで、多面的に関わらせていただいている」と、ブース担当の梅村岳さんはほほえんだ。
 「まずは障がいのある方に関わることへのハードルを下げてほしい」と話す田口真紀さんは、松本市文化観光部スポーツ本部スポーツ事業推進課に所属し、日本ボッチャ協会公認指導員も務める。「意思表示さえできれば、ボッチャはプレーできる。日常生活に援助が必要な人も、コートの上ではアスリートになる」とうなずき、「年齢も、体力も、性別も関係なくできるスポーツがあると、初めて見る人にも分かってもらえる場にしたい」と願いを込める。

 会場にはこのほか信州大学の学生、(一社)長野県理学療法士会の協力のもと、ボッチャや車いすバスケットボール、フライングディスクの体験、「わくわく運動あそび」などの各種ブースが設けられ、幼児から高齢者まで多くの笑顔に包まれていた。

取材・撮影/佐藤春香