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【長野日本大学高等学校 剣道部】師弟同行 鍛錬積んで全国8強を

経験豊富な知将のもと、長野日大高剣道部は日々鍛錬に励んでいる。チームを率いる大草務監督は40年以上の競技歴を持つ七段の剣士で、かつては全日本剣道選手権にも出場した。練習では「師弟同行」を主眼に、生徒とともに稽古に打ち込む毎日。「剣道は生涯スポーツ。心身ともに鍛錬しながら、競技を続けてもらえるように魅力を伝えている」と話す。

 4月5日現在で在籍する男女20人は、全員が北信地方出身。竹内訓好前監督の方針を引き継ぎ、地元選手の強化に力を入れているという。「地元から活躍する選手が出てくれば、次の地元の子どもたちにも繋がってくる」と言うように、後進にバトンを繋いでいくのが理想だ。
 長野市出身の宮下隼弥主将は「大草先生は答えではなくヒントをくれる。それを頼りに答えを導くような形で、すごく頭を使う」と話す。それも「師弟同行」だからこそ。宮下は頭をフル回転して解を導き出し、持ち前のガッツを交えて仲間に示す。「背中で見せることを意識している」。指揮官から教わった面を武器に、今季は大将としてもチームを支える。
 昨季の県高校総体は、個人で男子の越山薫と女子の傳田円夏がともに優勝。団体戦でも男子が頂点に立ち、女子も3位に入った。指揮官は「生徒たちがよく頑張って、素晴らしい結果を残してくれた」と振り返る。そして3年生が引退し、新チームで迎えた全国高校選抜大会。男子が県予選を制して全国大会に出場したものの、岡山商大附との1回戦で代表戦の末に敗れた。宮下は「県内では十分に戦えるが、県外の相手だと勝ちきれない部分がある」と唇を噛む。
 2020年には中学の剣道部も発足し、中高で合同練習を行っている。中学の1期生が3年生となり、来季からは高校の戦力となり得る。大草監督は「6年間で『試合に勝てるように』という意識はそれほどない。むしろ長く続けてくれるようになってもらえれば」と言うが、後進の飛躍にも期待。2つの年代が切磋琢磨し、県トップレベルの環境で高みを目指す。



 2017年の全国高校剣道選抜大会でベスト16に進出。現在はそれを超えるベスト8を目標としている。「全国で悔しい思いを晴らすべく、まずは出場するための切符をつかみたい」と大草監督。宮下も「目標は変わらないので、そこに向かって大将にふさわしい戦いを見せたい」と決意を改めた。

大草務 監督

取材・撮影/田中紘夢