勝利のみにこだわらない、新しい野球をつくる。塩尻市を拠点とする野球塾「NTBベースボールアカデミー」から、中学生を対象とした軟式野球チームが本年4月に発足。「気持ちよく戦って、気持ちよく勝つ」姿勢で躍進を目指す。
「脱・勝利至上主義」「グラウンドの中は歩かない」「挨拶・道具の整理整頓」という3つの柱を徹底。審判への挨拶やリスペクトなど礼儀も重視する。「基礎的な部分からハートを育て、気持ちの強さを磨いていきたい」と、アカデミーの代表を務める榊原勇監督はうなずく。「練習は相当きついと思うが、仲間と励まし合いながらがんばってもらいたい」と期待を込める。
「アメリカンノックやタイヤ押しなどはきついと感じるけど、技術練習もしっかりやれる。スキルアップできると思って参加した」と話すのは、中学１年生の飯塚一颯くん。厳しい練習に汗を流しつつ、「試合で結果を出すためにがんばろうと思える」といい、「将来はメジャーリーガーになりたい」と満面の笑み。高山村から練習に通い、「小学1年生で野球を始めた時から監督に教わっているので、安心感がある」と信頼をのぞかせる。
主将を務める中学2年生の小山椋太郎くんは「負けているときも雰囲気が良く、勝つイメージを常に持って試合に臨んでいる」と、気持ちの強さを強調。「きつい練習があっても、皆が元気で楽しい。１年生が多くて、にぎやかに明るくプレーしている」と、メンバー同士の仲の良さも魅力に挙げる。
ポジティブな育成を意識し、「叱責や怒鳴り声の飛び交わない環境を」と榊原監督。「捕れなくても走れ」と声をかけ続けると、走れなかった子にも意地が芽生え、食らいついていく心が育つ。打席では「とにかく打ってこい」と指導し、フライを上げてもお咎めなし。バントのサインも作らず、「全員に『ホームランを狙っていいぞ』と言っている」。結果にこだわるより、「本当の意味で野球の楽しさが分かるような形にしていきたい」と目を細める指揮官は、唯一「できるのにやらない」という姿勢が選手たちに見られたときのみ叱責するという。
メンバー募集は県内外を問わず全国的に門戸を開き、SNSも活用。アカデミー生以外も参加が可能。練習は土日のみ、10時から15時と短時間に絞り、効率よく密度を濃く実施。「様々な面で新しいアプローチにトライしている。雰囲気を感じて『やりたい』と思った子に参加してほしい」と仲間を募る。「気持ちよく戦える野球」で、セオリーを破る挑戦に臨む。
【小山 椋太郎 主将】
たくさん練習して、打球が飛ばせるようになったり、守備でアウトを取れるようになったりしたときが一番うれしい。主将として、守備でも攻撃でもチームを活気づけられる存在になりたいです。
【飯塚 一颯(いぶき) くん】
基礎練習もしっかりしていて、試合を想定したノックなども練習できて、良いチームだと思います。初心者でもすぐにうまくなれます。今年は絶対にホームランを打ちたいのでがんばります！
お問い合わせ先：NTBベースボールアカデミー
取材・撮影／佐藤春香
