地域スポーツ

【松本大学 女子バレーボール部】松本大学に「バレーの王国」を 新監督を招いて強化部へ

松本大学女子バレーボール部に新風を吹き込む。元全日本女子バレーボールチームで世界大会を経験し、現在は日本バレーボール協会評議員を務める野口京子氏を監督に招き、本年度から「強化部」として活動する。4月5日に部員と指揮官の初顔合わせが行われ、自己紹介や今後の活動などを話しつつ親睦を深め合った。
 長野大学での14年間の指導実績に加え、野口氏は全国各地のバレーボール教室での指導経験も豊富。現役時代にはオリンピアンとしても活躍し、世界にコネクションを持つ指揮官に緊張を隠せない部員たちだったが、野口氏のコミカルな自己紹介に自然と笑いがあふれ、和やかな雰囲気に。「いろんな可能性として私を利用してもらいたい」と、Vリーガーを招いての指導教室や国際招待試合への参加といった案を挙げる野口氏に、部員たちは目を丸くしたり顔を見合わせたりしながらも楽しげに耳を傾けた。
 「バレーをつらいものではなく、可能性が広がる楽しいものにしてほしい」とほほえむ野口氏。「頑張るほどつらくなって、バレーを嫌いになってしまう選手を何人も見てきた」と話し、「皆がバレーを楽しみながら大学生活を送る姿を応援したい」と力を込めると、部員たちからは「大会に出るからには『ちゃんとやりたい』という思いが芽生えた」「一緒にバレーを楽しんでくれる人を増やしたい」などの言葉がこぼれた。
 顧問の中島節子准教授(スポーツ健康学科)は「バレーを一生懸命やる中で『将来こんなふうに働きたい』という出口を探して、自分の道を選択していってほしい」と話す。強化部となったことで今後は練習時間や場所が優遇され、大学側と連携してバレーボールに打ち込める環境となる。「真剣にスポーツに取り組み、文武両道の姿勢は崩さずにいたい」と中島准教授は続け、「もちろんプロになるのも選択のひとつ」とほほえんだ。
 野口氏は以前から「私立大学でバレーを強化できるのは松本大学しかない」と考えていたという。スポーツ健康学科ではトレーニング指導者の資格の取得をはじめ、スポーツ栄養学やコーチング学などの学びから、あらゆる選択肢が用意されている。「全てのバレーのカテゴリに関わる人を育成できる。こんなに良い場所は他にない」と感嘆し、「ここにバレーの王国を作りたい」との気持ちが強まった。その思いが「県内スポーツを盛り上げたい」という大学側の姿勢と合致し、着任の運びとなったという。
 突然の活動強化に戸惑いを隠せなかった部員たちだが、強力なバックアップに「もうやるしかない」と声をそろえた。これからどんな未来を描くのか、無限の可能性が花開く。


Profile:野口 京子(のぐち きょうこ)
大阪府大阪市出身。旧姓は石田京子(いしだ・きょうこ)。日本バレーボール協会評議員、長野県バレーボール協会理事、ルートインホテルズ Brilliant Ariesアドバイザー。現役時代は日立バレーボール部に所属し、日本リーグで主将を務めた。1982~1985年全日本女子バレーボールチーム招集メンバー。1999年信州大学教育学部入学、2006年同学大学院修了。2009年長野大学に着任、同大学女子バレーボール部を14年間指導。2024年4月より松本大学に着任。

取材・撮影/佐藤春香