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【穂高剣道スポーツ少年団 穂高剣友会】剣の道で心を鍛える 笑顔忘れず自ら高みへ

子どもたちが武道に親しむための入口となる。礼儀を知り、相手を尊重する心を養い、勝ち負けを通して確固たる信念が培われる。「相手への思いやりを学んでほしい」と、髙山元彦代表はうなずく。剣道の理念である“剣の理法の修練による人間形成の道”に則り、子どもたち自身の人間力を高める。
1975年に穂高体協剣道部として設立し、2019年に現在の「穂高剣友会」に道場名を定める。「日本の伝統文化としての剣道を後世に残していきたい」という願いも活動意義の1つで、今年で設立47年目を迎える。

 通うのは主に小・中学生の子どもたちで、この場で初めて竹刀を握る子がほとんど。初心者への敷居を低く門戸をひらく理由を、「まずは遊びで剣道に親しむための入口として活用してほしい」と髙山代表。近隣の学校へのチラシ配布や口コミ、安曇野市スポーツ少年団からの紹介により加入者を募り、近年は「鬼滅の刃」ブームの影響から参加する子どももいるという。

 週3日の練習時間を設けるが、通うペースは生徒によってさまざまだ。週1回参加する子もいれば、きっちり週3回通いとおす子もいる。「強制はせず、子どもたちに任せている。『頑張った分だけうまくなる』と伝えている」。髙山代表はほほえみ、「負けることが悔しくて通うようになる子も多い」と続ける。「実力を秘めているのに、大人に言われないとやらないのではもったいない。自ら本気になってほしい」と、子どもたちの自発性を期待する。

 「厳しいけれど、それを乗り越えると楽しいことがある。試合で一本取って勝ったときはすごくうれしい」と語るのは、主将・髙山泰靖さん。父と兄の影響で6歳から道場に通い、現在は小学6年生。「幼い頃は嫌々やっている部分があったけれど、剣道をやっていたおかげで忍耐がついた。厳しい稽古も今は楽しく思える」と話す。
 笑顔で楽しく通える道場でありつつ、実力向上にも妥協はしない。「大会など具体的な目標を掲げて、意識高く取り組んでいる」と髙山代表は力を込める。2018年に全日本剣道道場連盟に加入し、競技志向へ舵を切り始めたばかりという。本年5月の長野県道場少年剣道大会では団体戦・個人戦ともに準優勝。団体戦での全国大会進出を決め、「今年こそは行きたいと思っていたのでうれしい」と泰靖さんも白い歯を見せる。

 剣の道を歩むことで、自ら強くなるための意志を育む。9月には大阪府で開催の第18回全日本都道府県対抗少年剣道優勝大会へ出場が決定。県代表として、いっそうの飛躍を誓う。


【髙山 元彦 代表】
自分の指導した子どもから一本取られてしまうと、成長を感じてうれしくなります。僕自身が競技を続けていられるのも、子どもたちのおかげ。大人になっても伝統を継いでいってほしいと思います。


【髙山 泰靖 主将】
身近に兄や父がいるから剣道を続けてこれました。今年から主将になり、一番上に立つことに責任感を感じています。皆を引っ張っていくため、大きな声を出すよう頑張っています。

お問い合わせ→穂高剣道スポーツ少年団 穂高剣友会

取材・撮影/佐藤春香