地域スポーツ

【塩尻パワフルズ】思いやりの心で繋ぐ チームワークが育む絆

みんなで繋いで得点する喜びが、粘り強く諦めない心を育む。ミスは仲間同士でカバーし合えばミスにならない。「自己犠牲によってボールが相手コートに返る瞬間はバレーボールならでは。思いやりのなせるわざ」と、小林昌平監督はほほえむ。小学生バレーボールチーム「塩尻パワフルズ」の子どもたちは、チームワークを通して思いやりの心を学んでいる。

 諦めずに繋ぐ気持ちは、仲間を思うからこそ生まれる。「今の子どもたちは『仕方ない』と簡単に諦めてしまう」と小林監督は指摘し、「指導者が失敗を褒めることが必要」と自らのスタンスを強調する。「失敗」が何より糧となる学びのきっかけであることを、子どもたちに伝えたい考えだ。
相手のマッチポイントで追い詰められたとき、「どんな気持ちでサーブを打つか」と小林監督は問いかける。「自分だったらどんな声をかけて欲しいか」と想像させ、「思い切り行け!」と激励し、たとえアウトになっても「よくやった!」と心意気を褒める。「かりに失敗しても、それをみんなで評価できるチームであってほしい」と小林監督は目を細める。

 トップダウン式にこだわらない実践形式の指導もチームの方針の1つ。「大人が言葉で説明するより、できる子にお手本に立ってもらって『どうしてできるようになったのか』をみんなにやって見せるほうが理解が早い」。子どもたち同士で苦手を教え合うことでチームワークも生まれ、それぞれの長所を生かしてカバーし合いながら自然と全員が伸びていく。とりわけ男子児童にとっては視覚優位の傾向が生かされ、「目の前で見る」ことが何よりの学びに繋がるという。

 「名前どおり『パワフル』な集団に」という小林監督の願いが織り込まれたチーム名。仲間と励まし合うことで、一人ひとりの持つパワーは何倍にも増してチームを満たす。「初心者にすごく優しい。団結力にも自信がある」と唐澤朔久主将。学年や経験の隔たりなく声をかけ合って笑顔を交わす温かさは「最初に入るチームにおすすめ」といい、初心者を歓迎する。

現在は小学3~6年生までの男子11人が所属するが、本来は男女混合チーム。広丘小、片丘小、丘中学校の体育館を拠点とし、塩尻市内外を問わず広くメンバーを募集している。思いやりが、その一球を繋ぐ原動力。「みんなでカバーする」という固い絆と粘り強さで、日々力強く成長を続ける。


【小林 昌平 監督】
どんな子だろうと、「無理なこと」はない。できるようになっていく姿に感動しますし、彼ら自身もレベルアップしていくのが楽しいから通ってくれています。今年は県大会出場を目指します。


【唐澤 朔久 主将】
監督に「期待している」と声をかけてもらって頑張れました。厳しいことを言われても納得できるし、初心者にすごく優しいチーム。点を決めて仲間に「ナイス!」と言われるとうれしいです!

取材・撮影/佐藤春香