地域スポーツ

【松本松島FC】誰もが笑顔のフィールド 伸びやかに楽しく日々成長

総勢60名以上の子どもたちが駆けるグラウンドは、笑い声にあふれている。島内地区を拠点とするサッカークラブ「松本松島FC」は、創設から50年以上にわたって地域に根差すスポーツ少年団だ。サッカーを通して子どもたちや保護者同士のきずなを深め、かけがえのない交流の場となっている。

 「サッカーを好きになる」というベーシックな部分からはじまり、「うまくなるためには」と自ら考える力を育み、子どもたちは生き生きと取り組みながらポテンシャルを伸ばしていく。徹底した子ども目線の指導は、プレーを「楽しむ」ことを何よりも重視。「のびのびとやるからこそ、うまくなる。子どもが好きで、一緒に楽しめるような指導が大切」と、南山和春GMはうなずく。

 子どもたちに説くのは「失敗は当たり前」という構え。「緊張感をほぐし、あえて期待しないことで、彼らはチャレンジングになる」と南山GM。「できないからこそ練習が必要で、やろうとしないままではうまくなれない。苦手なことをどんどんやって、できるようになろう」。ミスを恐れず、トライ&エラーを繰り返し、「できた!」と目を輝かせて達成感を味わうことで、彼らは自信をつけ、ますます能動的に学ぶようになるという。

 常に「考えながら」動くことを促し、反復練習にも飽きさせないよう工夫を凝らす。1つの練習は5分から10分。別の練習をはさんで、ふたたび先ほどのプレーに立ち返る。同じ動きを別の角度から考える視野が加わり、身体の使い方も変化する。試合中はあえて声をかけず、自分のプレーを覚えておくよう指導。成功も失敗もあとから反復して考える癖をつけることで、瞬間的なプレーの精度を意識させることが狙いだ。

 明るく、楽しく、元気よく。「声を出して、どこよりも元気に」とチームの姿勢を語る、キャプテンの新井心々さん。クラブの魅力を「元気で明るいところ」と笑顔で即答。彼女を慕う仲間たちも、「楽しい!」「皆が仲良し」と元気いっぱいに話す。
 クラブでの交友関係は、学内でも一役買っている。所属する子どもの大半は島内小学校の児童。「恥ずかしがりやの子が、友達の輪に入っていくきっかけになった」と、保護者会長の中川布沙子さん。「親たちも横のつながりができて、学校でのささいな悩みも相談し合える」と、保護者同士の結びつきも強調。子どもも、大人も、誰もが笑顔のフィールドは、地域に暮らす「サッカーファミリー」の確かな地盤となっている。


【南山 和春 GM】
勝った時のよろこびは子どもたち以上。できなかったことができるようになっていくのを見るのは最高にうれしい。ますます伸びていくのを感じると、やっていてよかったと思います。


【新井 心々(ここ) キャプテン】
小学3年生からサッカーを始めて、4年生の7月から加入しました。今年の目標は「目指せ2桁得点」。この前の試合で、コーナーキックからヘディングで決めることができてうれしかったです!

取材・撮影/佐藤春香・中嶋瑞樹