28歳の昨年、4度目の挑戦で「第38回県女子アマチュア選手権」で初優勝。ゴルフを始めてから7年という短期間で県女子アマの頂点に立った。
初めてクラブを握ったのは21歳。「その時は全然、うまくいかなかった」と笑顔で振り返るが、学生時代をトップアスリートとして過ごした気持ちに火がついた。止まっているボールすら思い通りに打てないことに悔しさとともに奥深さを感じてハマり、ゴルフ漬けの日々を送ることに。初めての大会は2018年のオール信州で3位。同じ年には県女子アマにも出場して21位、翌年以降7位、4位と順位を上げ、昨年は念願の優勝を果たしたが、「県女子アマで頂点に立ったことに満足せず、常に上を目指したい」と、今年は男子県アマに出場し競う。「タフなラウンドになるけれど、決勝に進んでトップ20位以内を目指したい」と、負けん気の強さは人一倍だ。
ゴルフを続けて感じたことが、「完璧」がないことだ。「練習して上手くなればスコアも伸びる。最終地点がないので、次はもっといいスコアを!と頑張れる」。オフシーズンは雪が無い関東へと遠征に行き、1年通して練習に励んでいる。そして8月には、昨年不合格となったプロテストに再び挑戦する。合格率は4%以下という狭き門だが、1日約600球を打ち込んできた「自信」と、ドライバー240ヤード越えの飛距離を武器に、難関突破を目指す。
自身も遅咲きだと認めるが、上を目指して必死に練習に取り組むのには理由がある。「ゴルフを始めて人とのつながりが広がった。両親やゴルフを教えてくれた人、ユニフォームに刺繡を入れてくれる人…。そんな支え、応援してくれる人たちに『有名』になって恩返しをしたい」。お酒も試合前には断ってコンディションを調整し、頼まれて若い人にゴルフを教える際には、マナーの大切さも伝え、街で時々声をかけられるようになってからは、「プロを目指す者としての自覚を持って行動するようになった」と笑うが、その表情にはゴルフへの誠実さが浮かぶ。そして、長野県でもっと競技ゴルフに参加する女性が増えてほしいと願う。「年齢を気にせずに、気軽に競技ゴルフに挑戦してほしい。『練習すればうまくなる』ということを、私が実績を残すことで証明し、女性ゴルファーの一つのモデルになればうれしい」と力を込める。
丸山菜々美(まるやま・ななみ)
1994年、長野市出身。長野国際カントリークラブ所属。21歳の時、知人に勧められて始めたゴルフに魅せられる。2022年の県女子アマチュア選手権で初優勝を飾り、プロを目指して猛練習中。将来はジュニアや女性のレッスンに携わり、長野県の競技ゴルフ人口を増やしたいとの夢を持つ。
取材/斉藤茂明
撮影協力/長野国際カントリークラブ