待望の大会に、会場は笑顔と熱気であふれた。9月10日と17日に第23回長野県障がい者スポーツ大会が松本市、安曇野市、朝日村、長野市の各会場で開かれた。202022年は新型コロナウイルス感染症に伴い中止され、今回は4年ぶりの開催。水泳、アーチェリー、フライングディスクなど個人競技8種目とバスケットボール(車いす・ツイン・知的障がい)、ソフトバレーボールの団体競技2種目で、白熱の試合が繰り広げられた。
「選手たちも『いつ大会に出られるのか』と、ふつふつした気持ちでいた」と話すのは、精神障がい者ソフトバレーボールチーム「Rainbo w絆」の職員・市川睦さん。体育館で練習できない期間は筋トレや過去の試合を観るなどしていたといい、「久しぶりにボールに触れた選手たちは本当にうれしそうだった」とほほえむ。バスケ知的障がい男子を制した「CHICUMA NEW HOPES」の小池瑛斗選手は「優勝するために頑張ってきた。久しぶりの試合で活躍できてよかった。大会があるとうれしい」と笑顔。チームを率いる上田成郎監督も「このような場を設けてもらって、皆で試合ができたことが何よりうれしい」とうなずいた。
バスケットボール競技会場でのボランティアに取り組んだ明科高校の生徒たちは、「(パラスポーツへの)イメージが変わった」と驚く。「走りやパス回しの速さなど、レベルの高さを感じた」「声ではなくアイコンタクトなどでコミュニケーションをとってシュートまでいくのはすごい」「障がいがあっても、(健常者の)自分たちと変わらない動きや、お手本にしたいようなすごいプレーがあった」と口々に話し、「来年も参加したい」と関心の高まりを見せていた。
本大会の前身となる県身体障害者スポーツ大会は1957年に初開催。200 1年に県知的障害者スポーツ大会と統合し、05年には精神障がい者の大会も統合され、現在は3障がいを対象とする県内最大のパラスポーツ大会として、多くのパラアスリートが出場をめざす。今回は選手や競技役員、ボランティア約1,000人が集い、健闘を讃え合って交流を深めた。
「久しぶりに県大会が開催できてうれしい」と、県健康福祉部障がい者支援課の田嶋弘之さん。例年の会場・松本平広域公園陸上競技場が建て替え工事中のため、今回は競技ごとに分散開催とした。「2028年信州やまなみ全障スポに向け、県民を巻き込みながらパラスポーツを盛り上げたい」と田嶋さんは話し、「共生社会の発展のため、スポーツを通して皆が交流し合える機会を」と強調。今後も毎年9月に開き、202 6年には新陸上競技場での開催を見越す。
取材・撮影/佐藤春香