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【更級農業高等学校 柔道部】廃部目前からはい上がれ!期待の新入部員と古豪復活への第一歩

「更農(さらのう)」の愛称で親しまれている更級農業高校。生徒が丹精込めて栽培した旬の果物や新鮮な野菜が校内で安く販売されており、教職員や地域の人々の間でひそかに人気となっている。

 生産流通科で学び、柔道部をまとめるのが荒井優風真主将だ。中学から柔道を始め、高校へ入学すると迷わず柔道部の門を叩いたが、3年生が引退し部員が一人だけになってしまった。土日・祝日は近隣の須坂創成高校・中野立志館高校・長野俊英高校と合同練習を行いながら技術を磨いてきたが、普段の練習ではひとりタブレットを手に練習メニューや技の掛け方などを調べて黙々と取り込む日が続いた。仲間のいない寂しさから心が折れそうになった日もあったが、この春に柔道経験のある2人の新入部員が入り、平日の練習メニューも増えたことで「よし、頑張ろう!という気持ちになった」とその時の心境を振り返る。寝技の乱取り、打ち込み、投げ込み…と、しっかりと相手と対峙しながら畳の上で心地いい汗を流す。1年生の2人には「学年の壁なくチームとして仲良くやっていきたいので、呼び捨てでもいいよ、と言っているけれど」と気を遣うが、1年生の赤塚凛斉さんと畠山瑛太さんは「やはり、先輩は先輩です」「優しい先輩ですが、そこに甘えないようにしっかり接していきたいと思います」と笑顔で話す。「2人が入ったことで、お互いのいいところや、修正点などをアドバイスし合えるようになった。3人で工夫しながら練習に取り組んでいる」と荒井主将。「切磋琢磨」という言葉をかみしめているに違いない。

 かつては、インターハイで個人戦2位、団体戦でも県2位という輝かしい実績を誇った更農・柔道部。荒井主将もしばらく勝利から遠ざかっているが、しっかり練習に取り組めたことで、「まずは北信大会の1位を目指したい。3人全員がやり切った、と思えるような試合をしたい」と力を込める。赤塚さんと畠山さんも「試合には強い気持ちで臨み、きれいな一本を決めたい」と、口をそろえる。外部コーチとして指導するO Bの平林博さんは「ここでは基本的なことを練習し、他校との合同練習で戦術を身に付けるようにしてきた。3人で地道にコツコツ取り組んできて、徐々に強くなっている。今秋の新人戦をステップにして、来年の大会では好成績を目指してほしい」と期待する。8月26日の「北信地区高校柔道学年別大会」では、赤塚さんが1年生66㎏級で見事優勝。荒井主将、畠山さんも気合十分で健闘した。古豪復活に向けて、第一歩を踏み出した。

取材・撮影/斉藤茂明