医療コラム

うすい院長のひとりごとvol.2  ケガをした時はどうすればよいでしょうか?

日々スポーツに関する診療を行っているなかで、お子さんやご家族から聞かれることが多いものにつきまして、医学的な根拠に私個人の見解を添えて紹介していきます。第1回は「ケガと故障の考え方」について述べさせていただきましたが、第2回の質問は「ケガをした時はどうすればよいのでしょうか?」です。
 前回も述べましたがケガとは「一度の(強い)外力によりおこるもの」で、具体的には骨折、脱臼、打撲、捻挫、肉離れなどをいいます(非常に大きな外傷で意識障害や大量出血を伴うようなものはすぐに救急車を呼ぶ必要があります。ここではそのような場合を除いて解説します)。
受傷後にまず必要なのはRICE処置といわれるものです。
①Rest(安静);局所の安静により患部の腫脹(腫れ)を防ぎます。添え木などで固定することも有効です。
②Ice(冷却);特に受傷から数日間は有効です。腫脹・二次性の組織損傷を抑えるのが目的です。「10分間冷却して50分休んで」というのを3セットくらい行うのがよいのではないでしょうか。

③Compression(圧迫);患部の皮下出血や腫脹を防ぐために行います。

④Elevation(挙上);患部からの静脈還流を促進させることで腫脹の軽減・予防効果が得られます。患部を心臓より高い位置に保つようにしましょう。
 以上の4つになりますが、急性期のうちは「いかに患部の腫脹を予防するか」がキーになります。

 また、「折れてもない・軽傷なのに受診してもよいものか」という質問も多いです。受診するかどうかを決める目安としては、
①腫脹が強く、皮下出血をしている
②すごく痛がっているの2つがポイントだと思います。特に皮下出血をしている場合はぜひ受診することをお勧めします(大きな病院はともかく、診療所は少しのことでも気軽に受診するためにあるのですから、遠慮せずに行くのがよいと思います。また、レントゲンが撮れる整形外科を受診してください。)。

 暑くて集中力が低下し、ケガが多くなる時季です。しっかり、栄養、水分を補給して集中力を養い、少しでもケガがなく運動できるようにしていきましょう。

出典)https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/athletic_injury.html

▶PROFILE

薄井 雄企
松本市の整形外科・リハビリテーション科うすいクリニックの院長。 2 名の医師、6 名の理学療法士が在籍し、「手術をせずに、いかに治すか」 をモットーに一般整形外科の診療・スポーツ選手の治療を行っている。 学生時代は野球部。