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【FC VICUS】新たな可能性をひらく 実績ある指導者が示す新チーム

新たな道を拓き、子どもたちの可能性を広げる。松本市・安曇野市を中心に活動を開始した少年サッカークラブ「FC VICUS」。2023年4月からのスクール活動を経て、今年2月にチームが始動する。代表を務めるのは松本山雅FCユースアカデミーに11年間在籍し、昨季はU-12監督を務めた恒本大輔さん。同ユースアカデミーコーチなどを歴任した矢田部匡さんとともに、松本山雅FCを離れて指導にあたる。
 「山雅はこれからもトップクラブとして存在し続ける。たとえばそこを目指せなかったときに『こんなクラブもあるんだ』という可能性の一つとして、子どもたちの選択肢をもっと広げたい」。立ち上げに至った思いを恒本代表はそう語る。松本市出身で、地元のサッカーの発展に尽力して11年。「周りを見渡したとき、まだまだ子どもたちの受け皿が少ないと感じた。自分がその選択肢の一つになりたい」。意気投合した矢田部さんとともに準備を重ねた。

 最初のスクール生は5人。体験会などを重ねるうちに現在は80人を超える。「ボールを持つことに自信がついて、攻撃と守備の両方とも積極的に関われるようになる」と、4年生の斉藤煕武と藤森俐空は口をそろえる。ともに発足時から参加し、斉藤は「ボールが持てるようになったおかげで、『自分で行きたい』という気持ちになり、ドリブルがどんどんうまくなった」といい、藤森も「ボールタッチの基礎やパスをもらう位置、相手との距離やスペースの見かたを教えてもらって、ボールを奪われることが減った」と胸を張る。
 ボールを扱う技術を丁寧に指導しつつ、「ピッチ上でどう動けば勝てるのか、自分で考える意識がつくよう促している」と恒本代表。「プレーを阻止してくる相手に対して、どう考えて、どう動くのか。ボール回しのような基礎練習が、試合のどんな場面で生きてくるのか」を日頃から問いかけ、「模擬戦で勝った組はこっちのコートへ、などとルールを設けると彼らは勝つための工夫をする。その工夫を拾って褒めて、『こういう選択肢もある』と示すことを日常的にやっている」と取り組みを明かす。
 「スクールに来て視野が広くなった」とうなずく前澤優は現在3年生で、「パスとドリブルを使い分けるのが得意。両足を使えるようになって、仲間ともっと仲良くなってがんばりたい」と向上心は尽きない。「自らチャレンジするとき、子どもたちはものすごく成長する」というのが2人の揺るがぬ信念。その思いを伝え続け、新たな可能性の芽を伸ばす。


【前澤優(まえざわ・まさる)くん】


【斉藤煕武(さいとう・ひろむ)くん】


【藤森俐空(ふじもり・りく)くん】


【矢田部匡さん、恒本大輔さん】

お問い合わせ
https://www.fc-vicus.com/

取材・撮影/佐藤春香