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【長野ボーイズ】「対話」しながら上達 スターダムを目指して

冬の寒風を吹き飛ばす元気な掛け声とバットの快音が、新年のグラウンドに響きわたった。声の主は中学生硬式野球チーム・長野ボーイズの選手。長野市内を中心に集まった39人が、大舞台を夢見ながら日々汗を流している。

 主将の宮林遥翔もその一人。「ミスター・トリプルスリー」の愛称で知られる東京ヤクルトの山田哲人を目標に挙げ「高校は県外の強豪校で甲子園を目指す。そのためにも速球を打ち返すパワーをつけるのが課題。持ち前の足の速さを生かして、走攻守の三拍子がそろった二塁手になりたい」と力を込める。
 選手たちは軽快なフットワークと腰を落とした姿勢でノックのボールをさばいていく。ロングティーバッティングでは、大きなフォロースルーで豪快な打球を飛ばす。しっかりとした下半身が生み出す高いレベルのプレーは、厳しい練習で鍛えられた証だろう。松村知昭監督は「うまくなって将来はプロ野球でやりたいという意識の高い選手が多い。基礎を鍛えながら『勝つチーム』づくりをしていきたいし、負けても学んで次に生かす『成長』につなげたい」と口にする。
 それを実現するだけの指導陣がそろっている。松村監督は社会人野球のNTT信越クラブ(現・信越クラブ)などで20年プレーした実績を持つほか、元東京ヤクルトのトレーナーや指導者ライセンス所持者などが手ほどき。充実のコーチ陣が目を配りながら選手たちの思いに応えていく。
 「高校野球から大学、社会人、そしてプロ野球と、段階的に進めるような指導を心掛けている」と指揮官。その中で、トレーニングの狙いや効果などを丁寧に説明することも心がけているといい、「長距離のランニングは試合終盤でのスタミナを、短いダッシュは盗塁や守備でのフットワークを養う。練習にはそれぞれ意味があることを、対話して納得させるようにしている」と話す。
 「練習は厳しいけれど、それを上回る楽しさがある。特に試合はワクワクする。個性的な選手をまとめて、チーム一丸となれるように主将として率先して盛り上げたい」と宮林主将。監督やコーチ、送り迎えをして応援してくれる家族など、周囲の支えに対して感謝を口にしながら、「全国大会で優勝して、プロになって恩返ししたい」と白い歯を見せる。
 1970年に始まったボーイズリーグ。現在は長野のほか県内に松本、千曲、諏訪、飯田、信州筑北などの8チームが長野支部に所属する。長野は最も早い2001年に加盟し、現在は23期生を募集している。


【宮林 遥翔 主将】


【清水コーチ、永坂コーチ、渡邉コーチ、松村監督】

取材・撮影/斉藤茂明