地域スポーツ

【 サンクラブ安曇野 選手コース】涙も笑顔も仲間とともに より速く、より強く

きのうまでの自分に挑む。「苦しいことやキツいことのほうが大半。だからこそ自己ベスト更新の達成感は大きく、その体験を積み重ねて強くなれる」。スイミングスクール・サンクラブ安曇野の中嶋勉コーチはそう力を込める。壁を乗り越えるための努力と達成の体験を繰り返し、社会の荒波を泳ぎ抜くための「打ち克つ心」を育む。

 ベビーからシルバーエイジまで幅広い年齢に対応し、経験や実力に応じたクラス設定が充実。乳幼児期の「水慣れ」に始まり、アスリート向けのトレーニングに至るまで一貫した指導が可能だという。幼い頃から通い始め、成長とともにクラスを上っていく子どもたちを見守り続ける。

「育成コース」の中で選抜された子どもたちは、「選手コース」への進級が可能となる。タイムを意識して「より速く」と挑み続ける練習環境の中で、高い精神力と忍耐力を養って「選手」へと成長する。中嶋コーチは「心・技・体のどれも欠けることなく、できる限りバランスよくレベルアップしていくことを目指す」と、選手一人ひとりと日々向き合いながら指導する。

「昔のタイムよりどんどん速くなっていて、自分自身の成長を感じる」と微笑むのは、高校3年生の滝川満さん。4歳からサンクラブ安曇野で力を伸ばしつつ、学校では陸上部や山岳部にも入部。そこで培われたスタミナも泳ぎに生かし、一昨年はついに北信越大会に出場した。「今までで一番うれしかった」と笑顔をこぼしつつ、今年も県大会突破を目指してさらなるタイム短縮を追求する。

 高校1年生の中村夢希(ゆめの)さんは、「大きな大会に出られた時はうれしい」とはにかみながら話す。中学生の頃から北信越大会出場経験もあり、「水泳ひと筋」と屈託なく笑いながらも、0.1秒の差に何度も泣いてきた。それでも顔を上げるのは、ともに励む仲間たちの笑顔があるから。「友達同士で笑い合って、楽しく続けられる」と、クラスの雰囲気の良さを語る。

「互いに刺激し合って、皆でレベルを上げて行ってもらいたい」と、中嶋コーチは目を細める。コースに入れば孤独でも、同じ水の中には仲間がいる。1mmでも、0.1秒でも、昨日の自分よりも前へ。涙も笑顔も分かち合って切磋琢磨しながら、若きアスリートたちは成長を続けていく。


【滝川 満さん】
泳げる環境がある、ということが有難いし、保護者の協力のおかげで水泳を続けてこられました。しっかり指導してもらえて、うまくなったことを実感できます。

【中村 夢希(ゆめの)さん】
コーチも丁寧に教えてくれて、皆とすぐ仲良くなれる楽しいクラス。今年から高校生になったので、インターハイ出場を目指して全力を尽くします!

取材・撮影/佐藤春香