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【松本大学 スポーツ健康学科 根本ゼミナール】大学とホテルが手を組み 健康づくりに貢献

白樺湖に隣接する池の平ホテル&リゾーツと松本大学は、連携協定を結んだ後、2011年に「健康いきいき診断プログラム」を開設。同大根本賢一教授(大学院健康科学研究科・スポーツ健康学科)が監修しながら講師を担当している。また、根本ゼミナールに所属する大学生たちもサポート役として講座利用者に健康指導を行う。健康講座は健康づくりを支えるとともに、学生たちにとっては実践的な学びの場にもなっている。2016年には施設内に「いきいきヘルスアップスタジオ」を開設し、トレーニング器具を充実させ、科学的な体力測定が実施できるようにした。また、リゾート地の特長を生かし、ロケーションの充実も図った。


 講師・監修を務める根本教授は、アトランタ五輪にトレーナーとして参加した経歴を持つ。プロアスリートへの指導経験を生かし、一般層にも科学的根拠に基づいたメニューを提案。「運動は正しくかつ効果的にやることがモットーにある」加えて「社会で働いている世代の健康づくりがとても大切」と語る。
 コロナ禍でニーズも高まっている。同プログラムは健康経営の一環として企業・団体向けにも行っている。その中で根本教授は「自粛期間が続いて、自分の健康に不安を持つ方が増えた。会社に勤めている方からは『健康診断の結果が良くなくて、でもどうすればいいかわからない』という声もある」と明かす。また、企業に出向いて講座を開くだけでなく、健康経営の担い手として各企業に就職している卒業生とともに活動もしている。その中で根本教授が重視するのは「実践」。いきいきヘルスアップスタジオで月に2回開催しているウォーキング講座では、1時間の講座と健康運動の実践をセットにしている。

 講座のテーマは「フレイル」「メタボ」「正月太り」など、日常生活でも耳にする言葉が見られる。その狙いについては「運動と聞くと敷居が高く感じる人も多いので、より身近に感じてもらうため」と根本教授。自宅でもできるようなメニューを提案しつつ、参加者同士のコミュニティも形成しており、リピーターは数多い。また根本ゼミナールの学生たちも、コミュニティの一助を担う。4年生の今井美月希(健康経営を担う大手スポーツクラブに内定)は「一緒に運動することで身体の健康だけでなく、心も健康になっていただければ」と願いを込める。
 池の平ホテルには、健康運動指導士という専門的な資格を持つ松本大学の卒業生3名がスタッフとして常駐。根本教授も含め、健康運動指導のエキスパートが集っている。専門性と雄大な自然が揃う環境を生かし、今後も健康づくりを支えていくつもりだ。

【根本ゼミナールの学生たち】

【根本 賢一 教授(大学院健康科学研究科・スポーツ健康学科)】

取材・撮影/田中紘夢