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【松本国際中学校 野球部】文武両道、勉強と野球の両立を実践! 創部から2年で掴んだ県大会優勝!

昨年、立ち上げからわずか2年で県大会優勝を勝ち取った松本国際中学校の野球部(軟式)。2年生11人、1年生4人と3年生不在にも関わらず県大会を初制覇、さらに新人戦でも優勝を果たすなど躍進した。上位大会の北信越では勢いそのままに準優勝、今年3月には静岡県での全国大会に臨む。強さの秘訣はどこにあるのか。
 「今のチームは打線よりも守備がいい。うちではリトル(小学生)でレギュラーになれなかった子が活躍していますよ」。そう語るのは田澤泰彦監督だ。同部は松本国際高校を運営する学校法人「理知の杜(もり)」が2021年春に開校した「中学校」に合わせて作られたばかりで、当初は部員の確保が課題になった。田澤監督は「まずは知り合いの親御さんに声をかけて、ぜひ来てくれないか」と、まさに草の根を分けるように入学を募っていったという。無論、その状況下でいわゆる「名選手」が集まってくれる訳でもない。ところが2022年、早々に前述の成績を残して見せた。「私も驚いています。ただ、もともと試合にも出られていなかった子が、ここに来てレギュラーでプレーし、大きく成長している」と田澤監督は話す。
 同部の練習は私立ならではの、少し「特殊」な時間割で行われている。取材に訪れたこの日は、放課後には少し早い14時。大寒波の名残る冷えた風が吹き付ける松本市寿運動グラウンドだ。バスで学校から移動した15人の選手たちはウォーミングアップから基礎練習に移ってゆく。これからこの寒い中で夕方にかけて練習に取り組むとはなんと熱心な‥・、と呑気な筆者の考えは監督の話で打ち砕かれる。「この後、生徒たちは学校に戻り勉強します」。なんということか。2時間少々ほどの練習をし、17時前には学校内に併設された塾で学習を行っているという。公立に比べて部活動を自由にできる、そんな私立のイメージは少し古いのかもしれない。まさに文武両道を目指し、限られた活動時間で最大限の練習効果を上げているようだ。
 田澤監督は選手たちに「突っ立っていても何も始まらない。自分から種をまかないと花は咲かない。それはプレーでも同じ」と伝えている。自ら考えて動き、全力で走り、全力で捕る。そんな隙の無い心構えが同部の強さの根底にある。

【田澤 泰彦 監督】

ここで成功体験を積んで、高校に行っても活躍できる人材を多く輩出したいです。できるようになると楽しいですし、のびのび野球をやってほしい。高校で硬式にスムーズに移行できるよう、学年が上がると硬式の練習も取り入れながら基礎を養っています。

【キャプテン矢野目 汐苑くん(2年生)】

入学前に他のチームも見学や体験に行きましたがあまりしっくりこなくて、一番練習に惹かれた松本国際中に決めました。今のメンバーは毎日楽しく練習していますが、時には厳しく言い合い、大会では集中して野球ができます。3月の全国大会を制覇したいです!

 

取材・撮影/生田和徳