地域スポーツ

【松本南リトルシニア】     全国上位常連の名門 伝統に裏打ちされた指導力

軽快な打球音と威勢の良い掛け声がこだまする。松本市内田の野球場。松本市南部を中心に活動する「松本南リトルシニア」は、創設50年超の歴史ある名門だ。春の全国選抜や全日本選手権などの常連で、2005年には中学硬式クラブチームが覇を競う「全日本中学野球選手権大会ジャイアンツカップ」を制して日本一にも輝いた。

 塚原啓介監督は就任11年目。身体・知能の双方に効果的な「動き、考える野球」を身上とする。「シニアの年代はまずは身体づくりからです。そして子どもたち自身が先輩や仲間を見て学ぶことを重視しています」と力を込める。
 その根底にある思いは何か。「長野県の野球界全体に強くなってほしいんです」と塚原監督。練習には塚原監督自身が指導してきたOBのコーチが参加するなどして、名門の活動を支えている。野球人口が減少傾向にあると叫ばれて久しい昨今。しかしここには「子どもを鍛えてほしい」と期待を寄せ、遠方から送り出す保護者も後を絶たないそうだ。


 これまでに全国優勝をはじめ4強、8強などの上位常連。またプロ入りを果たした選手も輩出しており、東京ヤクルトスワローズで活躍している赤羽由紘選手や、2005年にジャイアンツカップで優勝した際のエース・甲斐拓哉は東海大三(現・東海大諏訪)高を経てオリックスにドラフト1位指名された。
 こうした名門だからこそ、全国の強豪チームから練習試合などの引き合いも多い。塚原監督は「人数が多い中で、どうしたらゲームに出られるかを常に意識し、出られなかったときの悔しさも感じて次に繋げられる選手になってほしい」と話す。こうした指導哲学で選手たちに接し続け、毎年県内の強豪校へ進学する選手を多数輩出している。
 1971年に創設されて以来、松本南に脈々と流れてきた熱き“野球魂”。それを受け継いだ令和世代の野球少年たちはきょうも、明るい未来を夢見ながら白球を追いかける。

塚原 啓介 監督

中学生の年代は頑張れば頑張っただけ伸びます。好きなことを一生懸命にやり切ってみることを体験して大きく成長してください。

野口 貴弘 主将

監督に『お前にキャプテンを任せる』と言われたときは不安もあったけど、皆をまとめる役目も楽しくなってきました。目標は、次の大会でまず1勝です。力をつけて皆で勝利したいです。

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取材・撮影/生田和徳