地域スポーツ

【旭町中学校サッカー部】全国まであと一歩 その裏にある経験値と環境

 県最高峰リーグでの経験が、チームのスタンダードを引き上げた。サッカーの旭町中は8月、北信越中学総合体育大会で準優勝。あと1勝のところで全国出場を逃したが、たしかな足跡を残した。
 チームは2020年、初めて県1部リーグに参入。結果こそ最下位に終わったものの、強豪クラブにもまれながら成長を遂げてきた。「リーグ戦で強いチームとやってきたので、北信越でも驚くほど強いチームはいなかった」と樋口央汰主将。小沼和哉監督も「県1部はそう簡単に点が取れないし、球際などの基準も高い。日常が変われば、選手の基準は間違いなく上がる」と成果を実感している。

 中体連の中信大会は3位。その後の県大会も決勝で敗れ、準優勝となった。そして長野県第2代表として臨んだ北信越大会。1回戦は港中(石川)に2-1、2回戦は速星中(富山)に1-0と競り勝ち、準決勝に駒を進める。しかし全国切符が懸かる大一番で、最後は芦原中(福井)に2-3と打ち合いの末に敗れた。
 指揮官は「中信大会も県大会も優勝できず、最後のところで甘さが残ってしまった。足りないものがある中で北信越大会を迎えたが、ギリギリの試合を勝ち上がっていくことができた。課題を持ってやれたことが、逆にプラスに働いたと思う」と振り返る。一度も優勝を果たせなかったとはいえ、樋口も「全国にあと一歩まで迫れたのは良い経験だった」と充実感を示している。
 チームが重きを置くのは「止める、蹴る」という基本的な技術だ。小沼監督は三陽中、赤穂中と歴任し、現在は旭町中で6年目を迎えている。豊富な指導経験を通して「基本的なところが一番大事だと感じた。勝つことももちろん大事だが、高校に行った時に活躍できるようになってほしい」と思いを馳せる。


 今年の高校年代の県1部を制した松本国際には、OBが2人。いずれも3年生で主力を張っていた四方優斗と遠山詠太だ。彼らのような選手を数多く輩出することが、チームの使命でもあるだろう。
 2018年には松本山雅FCと連携し、校庭に人工芝のグラウンドを設置。中体連ながら県内有数の恵まれた環境を抱え、それが選手のモチベーションにも繋がっている。地の利を生かし、チームの目標である「全国出場」と「県1部リーグ再昇格」へ。来年こそは勝負強さを見せる決意だ。

取材・撮影/田中紘夢