高校スポーツ

波乱の第100回 市立長野が北信対決を制し初V

 波乱の連続だった。9月18日に開幕した第100回全国高校サッカー選手権長野県大会。約1カ月半にわたる熱戦の末、市立長野が初優勝を果たした。
 今年は優勝候補が相次いで苦戦を強いられた。3回戦では、最多優勝を誇る松商学園が長野東に敗戦。1-1で迎えた後半、長野東の佐藤諒平が勝ち越しPKを決めた。その後は松商学園が猛反撃に出るも、一歩及ばず。勝利した長野東は4回戦でも岡谷東を下し、県4部所属ながら堂々のベスト8進出を果たした。

 ベスト4に残ったのは、都市大塩尻、長野日大、松本国際、そして市立長野。夏の総体と同じ顔ぶれとなった。総体の成績をベースにすると、決勝で都市大塩尻と松本国際の再戦が濃厚ではあった。両者は総体の決勝でも相見え、県1部リーグでも最終節まで優勝を争った今季の“2強”。この壁を崩すのは容易ではないが、サッカーは何が起こるか分からない。
 果たして、下馬評は覆された。準決勝の第1試合、長野日大が2-2(PK4-3)で都市大塩尻を撃破。序盤に笠原大靖、笠木大翔の2トップが1点ずつを挙げ、絶好のスタートを切る。しかし、都市大塩尻も黙ってはいない。前半のうちに中嶋総太郎のゴールで1点を返し、終盤には中盾力仁が起死回生の同点弾。延長でも決着はつかず、最後はPK戦の末に長野日大が競り勝った。

 続く第2試合は、市立長野が2-0で松本国際に完封勝ち。前半に吉谷遥輝がスーパーゴールを突き刺すと、後半にも常田陸が追加点。守備でも松本国際のテクニシャンたちに自由を与えず、危なげない試合運びだった。

 決勝は長野日大と市立長野による、史上初の北信勢対決となった。どちらが勝っても初優勝の試合で、市立長野が3-2と打ち合いを制した。長野日大は16分、川浦龍介が先制弾を挙げる。その後は33分に木下武蔵のゴールで追いつかれたが、わずか4分後に笠原が勝ち越し弾。前半を2-1とリードで折り返した。しかし、後半は市立長野が牙を剥く。圧倒的なポゼッションでワンサイドゲームに持ち込むと、46分、71分と木下がネットを揺らし、ハットトリックを達成。2度先行されるも、粘り強く逆転に持ち込んだ。
 波乱の大会を勝ち抜いた市立長野は、公立高校として1997年の明科以来24年ぶりの栄冠。チーム3度目の全国大会進出を決めた(過去2回は総体)。来たる全国大会は2回戦が初戦となり、12月31日に東山(京都)と対戦する。


※大会の詳報は、2022年2月1日発売の「長野県高校サッカーCLIMAX」創刊号でお伝えします。

取材/田中紘夢