障がいをもつ子どもたちが、“スポーツの入り口”に集った。松本市スポーツ推進課が主催する「パラ☆スポくらぶ」は10月15日、サンスポートまつもと(障がい者スポーツ支援センター松本)と手を組み、「わくわく運動あそび」を初開催した。
パラ☆スポくらぶは、パラスポーツの普及推進を目的に昨年から始動。松本市内の体育館で月に1回、パラスポーツの体験会を開いている。これまでは車椅子テニスやボッチャなどパラリンピック種目が中心だったが、今回は車いすバスケットボールの傍らでわくわく運動あそびを実施。フープや跳び箱、ボールなどの用具を取り入れ、より遊び感覚を強めた。
講師を務めたのは、サンスポーツまつもとの職員。同団体は中信地域でパラスポーツの教室や大会などを開催しており、以前からパラ☆スポくらぶとは協力関係にあった。講師の一人である矢崎氏は「今までの体験会はパラリンピック種目がメインだったが、重度の障がいをもつ方や、年齢の低い子どもに向けた体験会もできないかと考えていた。まずは楽しみながら体を動かしてもらえるように、さまざまな用具を取り入れた」と経緯を話す。
当日は障がいの有無にかかわらず、小学生から大人まで幅広い年代が参加。サーキット形式でメニューをこなし、参加者同士で手を取り合う姿も見られた。障がいの度合いや年齢を考慮して難易度を調整しながら、参加者はそれぞれのペースで周回。大がかりなパラシュートも登場し、体育館には笑顔が絶えなかった。
「まずは体を動かす楽しさや達成感を感じて、その中で好き嫌いや得意・不得意が見えてくる。好きなことや得意なことは今後も遊びとして楽しんだり、競技として極めたりして、何かしらの形で続けていただければ」と矢崎氏。同企画は今後も開催を予定しており、引き続き“きっかけづくり”を進めていく。
「何かの種目を普及するのではなく、スポーツの入り口を作るというのが一番大きな目的。子どもにも大人にも体を動かす楽しさを知っていただいて、人との繋がりも広げていきたい」。スポーツの入り口に立った子どもたちが、その後に何を選択するのかも気になるところだ。
取材/田中紘夢