パラスポーツ

【障がい者水泳クラブ ウルトラ☆スターズ】一致団結 高みを目指して 誰もが輝くスター

才能に障がいの有無は関係ない。「障がい者水泳クラブ ウルトラ☆スターズ」は、ハンデを持ちながらも水泳が大好きな仲間たちが一丸となって、競泳の才能を開花させていくチームだ。

 参加条件はたった一つ、「50mを泳ぎ切れること」。メンバーの多くがそこからスタートし、正しいフォームや飛び込みの方法などを基礎から学ぶ。勝つ喜びと負ける悔しさを知り、全力で仲間を応援する熱い心が芽生える。ともに競い合う体験を通して強い団結力を育みながら成長を遂げる。

 選手たちに継続的な指導の場を提供するのが、チーム設立の目的。2014年1月の創設以来、月に2回の練習日を設け、大会出場を目標に据えた丁寧な指導を続ける。松本市の庄内屋内プールを本拠地に、北は長野、南は駒ヶ根からパラアスリートが集う。県内屈指のパラ競泳チームだ。
 代表を務める畑信太郎さんは、「個人ではなく団体としてまとまって、仲間と競いながらやっていける。団結力には自信があります」と微笑む。

 クラスがない日はそれぞれが自主練習に取り組み、仲間と競える日を心待ちにする。養護学校教諭を兼任する植松美千代ヘッドコーチは、「みんな記録が伸びることが楽しくて、厳しい練習に自ら取り組んでいる」と、高い意欲に日々驚かされていると話す。彼らを見つめる保護者たちもまた、熱心なサポートを惜しまず背中を押してくれるという。

 チーム最年長の倉田禎寛(よしひろ)選手は、38歳となる現在も自己ベストを更新。「皆と一緒に大会で勝つのがうれしい」とうなずき、切磋琢磨できる喜びをのぞかせる。下肢障がいを持つ松尾穂高選手は、「しばらく大会から遠のいているので、久しぶりに出場したい」と意欲を燃やすスプリンター。「皆が一緒に頑張っている」と、仲間がいる心強さを語る。
 「勝てたら楽しい」と無邪気に笑う畑遼一選手は、10月に鹿児島県で開催する全国障害者スポーツ大会への出場権をつかみ、全身全霊で挑む。負ければ泣いて悔しがり、ひとたび水に入ればコーチも追いつけないほどの力強い泳ぎで圧倒。「自分と戦い、自己ベストを更新して次のステップへ行く。その笑顔を見ると、やっていてよかったと思う」。遼一選手の父親でもある畑さんは、その活躍に目頭をぬぐう日もあるという。

 世界も視野に入れ、日本パラ水泳選手権大会へ挑むのがチーム最大の目標。昨今はその厳しい標準記録を突破した前川直輝選手がいよいよ台頭。天にきらめく星々のように、輝きを増しながら高みを目指す。


【前川 直輝 選手】
 ベビーから水泳を始め、4泳法をまんべんなく取り組むオールラウンダー。得意の平泳ぎでは大会標準記録をマーク。「練習に励みつつ、少しでも自己新記録を更新したいです」。

取材・撮影/佐藤春香