地域スポーツ

【箕輪中学校 サッカー部】一丸で守備を練り上げ 確かな成果つかむ

心ひとつに積み重ねた努力が、大きな実を結んだ。7月に行われたサッカーの県中学総体で、箕輪中は2位。優勝こそ逃したが、5年ぶりの北信越大会に駒を進めた。初戦で北辰中(石川3位)を下して歴代最高成績を更新。2回戦で丸岡中(福井1位)に敗退したものの、「全員が全力でやり切れた」と晴れやかに帰還した。

 「県優勝を目指す」という強い決意が、チームを奮い立たせた。昨年11月に新チームが始動。全員がその目標を胸に刻み、切磋琢磨した。「最初はパスもトラップもまともにできなかった。練習してうまくなっていくにつれて、プレーに余裕が出てきた」と西岡士龍主将は振り返る。
 チーム一丸となった背景には、2学年上の先輩たちの姿がある。就任3年目の大嶋信一郎監督が「人数も多く、テクニックのある選手がそろっていた」と評する折り紙付きの学年だったが、成績は県ベスト8。当時1年生だった西岡主将は「こんなに強いメンバーで優勝できないなら、もっともっと頑張らないといけない」と痛感し、奮起したという。

 目標実現のために、まず粘り強い守備を徹底。水ものの攻撃とは異なり、守備はコンスタントにパフォーマンスを発揮しやすい。一発勝負のトーナメントを勝ち上がるには重要な要素だ。「上に行くほど守備に追われる時間が長くなるので、守れないことには通用しない。『皆で頑張ろう』という意識の強さが守備力の高さに繋がった」と指揮官。突出したタレントはいないものの、コミュニケーションを活発に取る協調性の高さも生きた。

 「県制覇」に狙いを定めつつ、昨年11月のチラベルト杯での手応えなどを踏まえて旭町中(中信2位)と松本国際中(同1位)を意識。「この2校に通用するように」と戦略を練ったという。県準決勝では延長の末に旭町中に1ー0で勝ち、「強いと感じていた相手に勝てたことは自信に繋がった」と西岡主将。南信総体から県総体準決勝までの8試合を、いずれも無失点のクリーンシートで駆け上がった。

 「1試合1試合が全て県大会決勝だと思ってやってきた。それが力になって北信越に行けた」とほほえむ西岡主将。「この舞台で戦えたことがすごくうれしかった」と清々しさをのぞかせつつ、「自分たちは県優勝を目指してやってきたチーム。全中に届くためには、細かい技術や決定力などをさらに埋めていく必要がある」と望みを託した。
 9月のリーグ戦を最後に3年生は引退し、次のチームが掲げるのは「北信越ベスト8」。さらなる上の舞台を目指し、チャレンジは続く。


【大嶋 信一郎 監督】
今年は選手たちに北信越へ連れて行ってもらった、という思いです。来年は更に超えていってほしいと思っていますし、成績だけではなく雰囲気や向上心など、精神的なものも含めて期待しています。


【西岡 士龍(しりゅう) 主将】
皆が全力を出したと思うし、保護者からも「連れてきてくれてありがとう」と言ってもらった。僕たちの代で北信越のレベルを知れたことを糧に、後輩たちにはもっと上を目指してほしいです。

取材・撮影/佐藤春香