地域スポーツ

【エムスタイル テニスアカデミー】テニスを通じて豊かな人生を

 もっとテニスに打ち込める場を――。そんな思いから創設されたエムスタイル(MーSty le)テニスアカデミー。18年目を迎える現在は松本市と安曇野市の3カ所を拠点に、小学生〜高校生と社会人の約250人が所属する。斉藤政宏代表は「テニスは簡単には上達しないスポーツ。目標設定をして困難を乗り越える力を育んでもらえれば」と話す。

 頭文字のMは「もっと」「MORE」。もっと楽しみたい、もっと本格的に上達したい。そうした向上心や好奇心を満たす受け皿として役割を果たしてきた。底辺を拡大する中で競技力の高い選手も輩出するようになり、現在は大会出場を前提とした「育成コース」でジュニアデビス杯日本代表の中島暁(松本第一高)ら有望株が汗を流している。

 ただ、スクールとして力を入れたいのは競技人口の増加だという。「テニスは基本的に個人競技だし、人に気兼ねなくできるスポーツ。強い弱いとかに関係なく、成長する過程はやっぱり楽しい。テニスを通じた仲間もできるし、コミュニケーションツールとしても活用してもらいたい。そうやって普及・拡大していった先に、日本代表などの成果が結果論としてついてくると思う」と斉藤代表。広い裾野があって高い山ができる。

 小学生〜高校生はレベルに応じてコーチ陣が手ほどきする。「試合に出たい子はもちろん頑張るし、楽しみたい子は楽しめばいい。それぞれの目標に合わせて寄り添うようにしている」。大切なのは目標設定とプロセスで、豊田翔塁くんは「ラリーが続いたりうまくいくと楽しいけど、ボールを捉えたり相手に合わせたりするのは難しい」と試行錯誤しながら上達を実感中だ。さらに「ここで教わったことを家で復習したりすると、勉強も復習するようになった」という。

 社会人向けには敷地内の一角を使って焼き肉会を企画するなど、レクリエーションの場を設けることも意識している。既存の愛好者だけでなく新規層にもテニスの魅力を伝えていきたい考えで、初心者や運動が不得意な子どもに向けた体験イベントを企画中。斉藤代表が脱サラして始めた当初は「もっとテニスに打ち込める場所を」というMーSty leの意味合いは、会員の意見なども聞きながらコンセプトが成熟の変遷を遂げてきた。斉藤代表は力を込める。
 「きれいごとではなく本当に、会員の皆さんに育てられてきたスクール。もっとテニスを通じて、初心者も上級者も老いも若きも、豊かな人生を過ごしてもらえるような場所になりたい」


【斉藤 政宏 代表】
「もっとやりたい」人に寄り添う。「もっと」や「松本」のMなど、いろんな意味を込めたM-Styleでした。テニスは結構難しいスポーツですが、できないことができるようになれば楽しいし、大会に勝っても負けてもその過程には意味があります。テニスを長く続けてもらえるような指導を心がけています。


【黒岩 愛右 さん(信明中2年)】
大会で自分のやってきた成果が発揮できて良い結果が取れたらいいし、悪くても「次は頑張ろう」と思えます。小学校2年生からテニスを始めて7年目になりますが、辞めたいと思ったことは一度もありません。将来は経験を生かして、コーチとかトレーナーとかテニス関係の仕事に就きたいです。

取材・撮影/大枝令