松本市東部の高台にある明善中のグラウンドに、子どもたちのいきいきとした声が響きわたる。声の主は、明善サッカースポーツ少年団の選手たちだ。「目標に向かってコツコツ頑張る力を培ってほしい」という大人たちの願いのもと、元気にボールを追いかけている。
小1〜5年の37人が所属している。「大きな声を出していこう!」と、高橋秀昌代表の激励で練習がスタート。まずは全学年でボールに親しむことから練習に取り組む。「サッカーを楽しんでもらうためには、ボールに馴染んでもらうのが一番。ゴールデンエイジと呼ばれる小学生のうちに、基本となる『止める・蹴る・運ぶ』の扱いを学んでほしい」と高橋代表は語る。
ボールの扱いを学ぶために、入団したらまずはリフティングに取り組んでもらうという。「リフティングができるようになるには、頑張らないといけない。時には泣きながら練習する子もいる。2週間くらいで急成長する子もいるしなかなか成長しない子もいるが、コツをつかめるようになるとサッカーもグンと上達する」。子どもたちの成長を見るのが、高橋代表の大きな楽しみだという。
「サッカーを通じて、人に優しく仲間を大切にすることや、目標に向かって毎日コツコツ努力することを学んでもらいたい。頑張ったぶんだけ目標を達成したときの喜びは大きい。その経験はサッカー以外でも役に立つ」。現5年生は、6年生がいないチームのため、実力差のある6年生の試合に出なければならないときもあった。
「負けても挫けない気持ちを持ってほしい」と、保護者も一丸となって子どもたちを後押ししている。「明善一家」と呼ばれ、アットホームで一致団結したサポートがある。お寺での合宿やクリスマス会など、イベントの多い地域のサッカースポーツ少年団。保護者も一緒にチームを支えている。
グラウンドでは、低学年・4年生・5年生に分かれて練習が進んでいた。チームには現在、監督のほかコーチ7人とアシスタントコーチ2人が在籍しており、学年ごとにコーチがついている。チームの目標は大会での優勝だが、何よりもチャレンジする気持ちを育てることが第一だという。子どもたちの「やる気スイッチ」をみつけるのに苦労するときもあるが、コーチ陣の気持ちは一つ。練習中には何度も「諦めるな!挑戦しよう」と声をかける。
練習日は土日と火曜夜の週3回で、主に明善中グラウンドを使って汗を流す。明善小学校の子どもたちを中心に他校の児童も参加しており、多くは友人や兄弟の紹介で入団するという。楽しみながらも、優勝を狙って練習に励んでいる。
キャプテン 鹿野 誠太 さん(5年生)
サッカーをはじめたきっかけは、友達がサッカーをしていたから。試合前には、5年生みんなで目標を決めて臨んでいます。キャプテンとして、声を大きく出し、今年は10点決めてみんなを引っ張りたいです。
副キャプテン 一之瀬 禅 さん(5年生)
目標は、大会に出て優勝すること。メダルを獲得できるよう、副キャプテンとして、キャプテンを支えて頑張りたいです。みんなが声を出せるよう、まず自分から声を出してチームを盛り上げていきます。
代表 高橋 秀昌 さん
取材・撮影/くりはらともこ