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進化と成長を示し 4連勝の2位で後半戦へ

真夏のビッグウェーブに乗った。松本山雅FCは尻上がりにゲームの内容が改善され、それに伴って大きく白星先行。前半戦を終えて11勝4分2敗(勝ち点37)の2位でターンした。今季最長の連勝記録も7月18日現在で4まで伸ばしており、1年でのJ2復帰に向けて前途洋々と言えるだろう。

 何より守備が安定した。開幕当初は第6節まで連続失点。クロスからゴールを破られるシーンが立て続いた。その中でも粘り強く勝ち点を拾っていたが、第7節アスルクラロ沼津戦を初めて無失点で切り抜けると、以降はほとんど大崩れせず。9戦負けなし(5勝4分)とし、常田克人は「センターバック陣はよくクロス(対応の)練習をしている。クロスの守備はすごく堅くなっている」とうなずく。

 第13節・愛媛FC戦で3失点して10試合ぶりの黒星を喫したが、ここで再びネジを巻く。「ラインコントロール、カバーリングをもう一度突き詰めることを意識して取り組んだ」とディフェンスリーダーの大野佑哉。続くいわきFCとの上位対決は外山凌の2ゴールで2-1と逆転勝利を収めると、それ以降の3試合はいずれも1-0で4連勝とした。

 連勝中は、個々の成長と進化が結果を引き寄せてきた。第15節ヴァンラーレ八戸戦は、右サイドバックの下川陽太が逆サイドのクロスに入る動きから決勝弾。それまで調子を落としていたものの、名波浩監督に発奮を促された勝負の一戦で結果を出してみせた。「(調子が悪くても)信頼して出し続けてくれて、それに応えないと――という思いでいた。変わるきっかけになるすごく大事なゴール」と声を弾ませる。

 第17節福島ユナイテッドFC戦は、開始早々の3分に住田将がゴール。住田もまた調子を落として前節はベンチ外となっており、再起のゲームだった。ボランチの位置からゴール前まで侵入してクロスに合わせる、会心の一撃。「前節で(ベンチ外となり)悔しい思いをして、チャンスを生かしたいと思っていた。ゴールに向かうプレーを増やそうと意識して試合に入って、早々に取れた」と白い歯を見せた。

 失点数リーグ最少タイの大崩れしない堅守と、U-19日本代表FW横山歩夢らの能力を全面に押し出したスピード感あふれる攻撃。歯車ががっちり噛み合い、勝ち点を積み上げている。ただ、それでもまだ成長の途上。名波監督は「アスリートとして一局面一局面に向き合ってほしいし、それで勝ちを積み上げて目標を達成していくグループにしたい」と話し、さらなる高みを見据えている。

取材/大枝令