地域スポーツ

【FC AZUL】未来の麻田将吾を目指して! 「型破り」の前の、型学び。

1月下旬の大寒波が訪れ厳しい寒さが長野県に腰を据えている頃、安曇野市穂高東中学校の体育館(講堂)では、窓を開け放った氷点下の館内でボールを蹴る少年たちがいた。FC AZULは長らく安曇野地域で活動するアルフット安曇野から派生した中学生年代のサッカークラブだ。
 現在J1の京都サンガF.C.で主力として活躍する麻田将吾選手(豊科出身)がサッカー技術を磨いたのも同クラブで、本誌では2014年に京都サンガユースへの入団が決まり、地元を旅立つ前の15歳の麻田選手にインタビューをした馴染みのある地域クラブでもある。 
  練習は平日の火・水・金曜の19時~21時と土日に行い、現在は中学2年と1年合わせて21名(取材時)が未来のJリーガーを目指してトレーニングに励んでいる。選手それぞれに自主性を持ってもらうためにキャプテンや主将は設けていないのも特徴だ。
 ここ数年、同クラブでは指導力・技術力の向上を図り、松本山雅FCから指導者派遣を受けている。元山雅選手でU-12、U-15等の指導を歴任し現在ユースアドバイザーの矢畑智裕さんをヘッドコーチに迎え、指導方法を大幅に進化させてきた。FC AZULのクラブ代表を務める吉井哲平さんは、「矢畑さんが入ることで指導が大きく変わった。選手を育てる環境をいかに作るか、子どもたちとどう向き合うかの意識改革が大きかったです。例えば休ませ方にもあり、土日とも活動することがほとんどでしたが、今は基本的には土日のどちらかはオフにしています。遊びでも勉強でも好きに使ってもらう。年末年始や夏休み等に取るオフの期間も長くしました。すると子どもたちが本当に楽しそうにサッカーをやりに来るようになったんです」と驚きを語った。  
  練習メニューは基礎基本に忠実なものが多い。そこにもプロの世界のマインドが注入されており、「型破りな選手になるなら、まずは型を学べ」という教えがあるそうだ。同クラブは2022年、所属する県2部リーグで優勝し1部への昇格を果たすなど成果も上がっている。やはり偉大な先輩として前出の麻田選手の存在も大きい。昨年末、麻田選手が地元に帰省した際、クラブにサプライズで練習参加に来たという。子どもたちも身近な存在に感じていたようで、麻田選手の言葉によく耳を傾けていたそうだ。吉井代表は「将吾は言うときはしっかり言う。プロとして生きていく上での、サッカー選手のリアルを伝えてくれた。彼はこのクラブにいた時から誰よりも負けず嫌いだったので、今の子どもたちにもそのパッションが伝わればいいですね」と話す。    
 同じ土地で同じクラブで生まれ育った身近な大目標に向かって、FC AZULのメンバーは今夜も息を白くしてボールを蹴る。

【吉井哲平 代表】

常に意図をもってプレーができる選手の育成を目指しています。どこの高校でもやっていけるような選手になってほしい。クラブの目標は、北信越のカテゴリーでも戦っていけるようになることです!

取材・撮影/生田和徳