高校スポーツ

【長野東高等学校 陸上部】県勢女子初 「都大路」で全国の頂点に

師走の古都で、県勢女子初の栄冠に輝いた。第34回全国高校女子駅伝競走大会(2022年12月25日、たけびしスタジアム京都発着の21.0975km)で、16年連続16回目出場の長野東が1時間7分37秒で初優勝。横打史雄監督は「思惑通りのレース。1年間いい準備をしてきて、本番で力を出し切ってくれたことが優勝につながった」と喜びを口にした。
 1年時からエース区間の1区を任されてきた3年生・村岡美玖を大黒柱としつつ、そこに依存しすぎないチームづくりに注力。今季は特に、ケガなどで練習できない選手へのケアなどを意識。一体感を高めつつ、全体のベースアップなどを図った。
その中で台頭したのが名和夏乃子。前回は2区を走り、今季はインターハイ陸上1500mで8位入賞した。3000mの持ちタイムも村岡にほぼ並ぶ9分15秒73。成長株の2年生を最長6kmの1区に抜擢し、村岡をアンカーの5区に回した。
 「村岡は単独走の方が強い。それを生かすオーダーにして成功させるためには、まず1区をしっかり走れることが大前提だった。名和はタイムも実績も十分で、自信を持って1区を任せた」と指揮官は振り返る。
 その名和が期待通りの好走。「抜け出す人もいなくて理想の展開で、先頭集団でついていく走りを意識した」といい、トップと6秒差の4位でたすきを渡した。2区を任された1年生の窪田舞が2位浮上。3区を託された仁科玲美がつなぐと、4区の佐藤悠花が会心の走りを見せる。3年連続の4区で下り基調のコースを熟知しており、「ポイントや粘るところは押さえていた」。区間賞の快走で2位に浮上した。
 トップとは16秒差。最後は村岡が仕上げる。2.6km地点でトップの仙台育英(宮城)を抜いて先頭に。脚を止めず、そのまま先頭でテープを切った。「とりあえず全力で走った結果として1位になれた。すごくびっくりしたし、最初は実感がなかった」と白い歯を見せる。
 長野東を強豪校に育てた玉城良二・前監督の後任として横打監督が就任したのが2020年。コロナ禍でもありイレギュラーな対応に追われながら、選手とともに歩みを進めてきた。就任1年目は20位に沈んだが、前回は7位。そしてメダルを狙った今回は、最高のレースで最高の結果を収めた。
 「初めから先生に指導を受けて、すんなり吸収できたし学ぶことは多かった。先生に優勝をプレゼントできてよかった」と赤羽真衣佳主将。支え合い、助け合い、競い合いながら、一丸となって頂に立った。

 

【横打史雄 監督】

この結果は3年間でなし得たわけではない。玉城先生が築いてきたものが間違いなく礎となっているし、「駅伝長野」と言われるほど盛んな土壌があるから。全国的に見ても、ここまでの熱を持っている地域はないと思う。県内で小中学生を教えている指導者の方々も、
普段から熱心に応援してくださる地域の方々も含め、「オール長野」で達成した成果だと思っている。

【赤羽真衣佳 主将】

チームづくりを最初に見直して、それが積み重ねとして生きた。「都大路でのメダル」はみんなの目標だけど、そこに至る一人ひとりの道筋は違う。それを尊重することが大事だと思った。故障した選手に対して自分の経験を話したりして、周りの3年生も同じように接してくれて、それがコミュニケーションに繋がった。去年の3年生も、学年を超えて話しやすい雰囲気づくりをしてくれていた。うまくいかないことも含めて成長できたと思う。

取材・撮影/大枝令