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【長野アンビシャスFC】    型を知って、型を破る力の養成 複数Jクラブのコーチも注目

2013年に設立した長野アンビシャスFC。10周年の今年、小学生に加えて中学生対象のジュニアユースを設け、春から24人がピッチに立つ。「アンビシャスでもっとうまくなりたい」という多くの声と、サッカーを学ぶうえで最も大切な小学生年代で得た技術を中学生年代に切れ目なくリレーし、アンビシャスが目指すサッカーをしっかり身に付けて成長してほしいとの理念から新たな挑戦に踏み出した。

 アンビシャスの指導で大切にしているのは「サッカーの原理・原則」。戦術を、じゃんけんのグー・チョキ・パーに例えるなど、分かりやすくて楽しいのが特長だ。そのうえで一人一人の発想・個性を尊重した指導へと発展する。元長野パルセイロU-15のコーチでJFA公認A級ライセンスを持つ堀澤秀太ヘッドコーチ(HC)は「例えば10年後、サッカーのトレンドが変わっても原理・原則(型)をベースに、自分で考えて判断する(型を破る)力があれば対応できる」と話す。子どもの主体性を伸ばす指導は注目を集め、SNSなどで知った香港サッカー協会のコーチも視察。また複数Jクラブから問い合わせもあるという。「多くのクラブが困っている点は、ガチガチに組織化されてしまうか、逆に約束事が少なく無秩序になってしまう点。主体性を実際に体現できているウチにとても関心を持ってくれたよう」と堀澤HC。


 昨年夏、フットサルの全国大会にU-12が参加し、長野県勢では初の予選突破を果たした。小学6年生の〝ジョー〟こと田代丈太朗主将は「主将として楽しむときは楽しんで、やるときはしっかりやる、メリハリを心がけてきた。コーチたちの分かりやすい教え方で、状況に応じた判断でサッカーができるようになり、上達を実感している。春からはジュニアユース。もっとうまくなって将来はW杯で優勝して、日本サッカーの歴史を変えたい」と、目を輝かせる。堀澤HCは「結果(成果)が出れば楽しくなり、子どもたちは自ら練習するようになる。プロを目指す子には、それに応じた指導をするが、もし将来サッカーから離れることになっても、自ら考えて行動できるタフで優しい大人になってほしい」。アンビシャスのサッカーをツールに「人間的な成長」も願う。

 黒鳥和哉代表を中心に、北信地域にも選手育成ができる場を作りたいと誕生してから、独自の指導で選手の力を伸ばしてきた。選手層の厚い大都市圏に負けず、「長野だから育つ」態勢を目指し、今では共感した他のクラブも巻き込み、地域全体のレベルアップの一翼を担っている。

【田代 丈太朗 主将】

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取材・撮影/斉藤茂明