過去最低の14位に終わった昨季からの巻き返しを図るAC長野。シーズン開幕に向け、1月19日から約1カ月に及ぶキャンプを行い、新戦力の融合と攻撃的なスタイルの成熟を目指した。
静岡県御殿場市を拠点に行った1次キャンプでは、加藤弘堅が「人間性を含めてまだ時間が必要。時間をかけてコミュニケーションを取らないといけない」と話すなど新加入の選手を含めて互いの持ち味を把握することがポイントの一つとなった。
練習だけでなく、宿舎でともに生活を送り、選手同士の仲も深まる中、進昂平は「真面目な選手が多い」と新加入選手の印象を語る。「互いの特徴の擦り合わせは早い段階で良くなると思う」と手応えを口にした。福島から加入した田中康介も「練習や試合を重ねるごとに連係を深めて開幕に向かっていきたい」と話す。
新たに16人が加わり、全36選手となったチームでは、開幕に向けたポジション争いも激しさを増している。
特に攻撃陣の競争は熾烈だ。1次キャンプで実施した練習試合では、FWの進や木原励、浮田健誠、MF山中麗央などワントップの候補となる選手がゴールを決めた。中でも進は3試合連続ゴールを挙げるなど4試合で4得点。浮田も1月31日の福島戦で2得点をマークした。
新加入の浮田は「FW陣でこのチームの得点を引っ張っていかないといけない」。昨季は故障もあり、4得点にとどまった進は「自分が引っ張る」と責任感をにじませ、「誰が出ても同じ強度でサッカーができないと優勝はできない」と競争による戦力の底上げの必要性を語った。
新戦力の加入で最終ラインや中盤も選手層に厚みが出てきた。今治から移籍した安藤一哉は「ポジション争いに対して全員が切磋琢磨できている」と強調。「その環境で自分ももっとやらないといけない」と刺激を受けている。高木理己監督は「いろいろな組み合わせを試している。良い競争をしてくれている」とうなずいた。
大阪での2次キャンプではJ1京都との練習試合も行った。スピード感やプレーの質で上回る格上相手に、守備に追われる時間が長くなったが、ハイプレスでボールを奪い、ゴールにつなげる場面も作った。1次キャンプから継続して取り組んできた前線からプレッシャーをかけ、攻撃に人数をかけるアグレッシブなスタイルは浸透しつつある。
キャンプを通じて課題と手応えを感じつつ、小西陽向は「チームとして完成度を高めていきたい」と力を込める。高めたチーム力と磨いたスタイルで、まずはFC大阪との開幕戦勝利を目指す。
プロスポーツ