岡谷工業高校男子バレーボール部と聞いて「名門」の名を思い浮かべるのは、恐らく“アラサー”のみなさんではなかろうか。県高校総体でみると、近年は松本国際の台頭に伴って全国の舞台から遠ざかること15年。常に決勝に駒を進めるものの、あと一歩優勝に及ばなかった岡工バレー部だが、今年6月、8大会連続で顔を合わせる宿敵・松本国際と迎えた県総体決勝を2対0で制し、見事15年ぶり29度目の優勝を飾った。
監督の大日方先生は勝利の瞬間を「勝っちゃったなぁ、と思いましたね。本当に勝てるんだって」と振り返る。自身も同校バレー部の卒業生として、正に名門時代を過ごした大日方監督は、初任から8年間、同部でコーチと監督を経験。その中では15年前に監督した大会で、全国優勝も達成している。その後10年間飯田へ転任し、5年前に母校に戻ってきた。
現在部員は県内各地から集まった32人。その内、遠方から親元を離れてきた14人は、監督夫妻が管理する寮で過ごし、生活面でもサポートを受ける。「自分のことは自分でできるとか、挨拶ができるとか、掃除とか普段の部分ですよね。そういった規律がコートでも大切になってくると思います」と、監督はこういうことが強いバレー部に必要だとし、「バレーボールは気持ちを繋ぐスポーツ。コートの上で結果や答えを出すには、自己中じゃダメなんです。普段から周りを見て、今自分に求められることはなにかを考えて実行できる人間になってほしいですね」という。
インターハイは昨年新型コロナの影響で中止になり2年ぶりの開催となる。同校はこれまでに2回の優勝実績を持つが、前回優勝したのは2006年、大日方監督は「ほぼ初出場」と笑って見せる。「名門復活」の大きな狼煙を上げるのは、8月2日~6日、石川県金沢市で開催される全国インターハイの舞台だ。
【左・監督】大日方 崇徳さん
うちは全国ではCランクくらい。まずはBランクに手が掛かるように調整しています。選手たちには常に結果から逆算して何が必要か考えるように伝えています。そして自分の役割、自分しかできないことを見つけて欲しいですね。
【右・キャプテン】石坂 朋也くん(3年生)
試合ではウイングスパイカーをしています。最後にボールが上がってくるのは俺だ!と絶対に決める気持ちで臨んでいます。練習から自分たちに厳しく1本1本大切に、全国ではチャレンジャーの気持ちで勝利を目指して戦いたいです!
<取材・撮影/生田和徳>