師走の決戦に未来を託す。
松本山雅FCはリーグ戦の最終盤から猛スパート。2年ぶりの4連勝を達成し、J3第37節を終えた11月17日の時点でJ2昇格プレーオフ進出が確定した。4チームのうち優勝だけがJ2へのラストチケットを手にする。
霜田正浩監督の決断が大きかった。第33節ガイナーレ鳥取戦で3ー4と敗れた後、陣形を変更。従来の4バックから3ー4ー2ー1とした。守備時は最終ラインが実質5人に増員されることなどから、強固さが増す。それと同時に、起用する顔ぶれも大きく変えた。
目指してきたような、小気味よくボールを前進させる攻撃は出にくい。しかし、手堅く力強い攻守を遂行。3バックは中央に経験豊富な高橋祥平を据えて左に宮部大己、右に野々村鷹人を置く布陣。高橋のフィード能力と左右の防衛能力が噛み合う。後方に人員が多いため、前線も後顧の憂いなくプレッシングに行ける。
第36節・いわてグルージャ盛岡戦ではアウェイで過去最多の6ゴールを挙げた。この試合ではMF村越凱光、高橋、MF安永玲央、MF菊井悠介、FW安藤翼、FW浅川隼人と全て異なる選手がゴール。パターンも多彩だった。
11月16日には1試合を残してホーム最終戦。これまで苦手としていたFC琉球を2ー1で下した。安藤は持ち前の身体の強さを生かして2試合連続の6ゴール。成長著しい村越もキャリアハイをさらに上書きする8ゴールとした。
瀬戸際からの逆襲。今季当初はJ3優勝とJ2昇格を掲げてスタートしただけに、プレーオフ経由での昇格はただでさえ下方修正となる。それでも、昇格できないよりは遥かにいい。だからこそ最終盤でチームは一体感を強めており、慢心せず一戦必勝の姿勢でいる。
実際に4連勝を達成した後、宮部は「チーム内は一喜一憂していない。今回はホーム最終戦を勝ちで飾れたけど、来週も何も変わらずに行けるチームではあると思う」。第37節終了時点でチーム2番目の得点数となる村越も「連勝は結果であって、僕たちは本当に一つ一つが決勝という気持ちでしかやっていない。その結果が4連勝につながっていると思う」と話す。
本稿執筆時点で4〜6位が確定しており、11月24日の最終節で順位が決まる。それによりJ2昇格プレーオフの対戦相手などが決まるが、いずれにしても12月1日の準決勝、7日の決勝と勝ち上がる以外に道はない。「3勝すればJ2昇格なので、結果だけを求めてやっていきたい」。MF山本康裕は決然と語った。
取材/大枝令